このご時世「あなたのために」と言われることに胡散臭さを感じることはありませんか？「利他」とは「他人の利になることをする」ですが、それは「自分への見返りを期待している」（=「利己」）からじゃないの？そんな疑問に向き合う一冊です。

「利他」とは何か、親鸞、落語家・立川談志、料理家・土井善晴、そして宇多田ヒカルを同列に分析し本質を探っていく構成が読みやすく秀逸。第二章「やってくる」では日本語ではあまり馴染みがない「与格構文」を取り上げ、「利他」と「利己」の構造を解き明かしていきます。

書名の「思いがけず」の意図が分からず読み始めました私が、読後は「この言葉しかないよね」になりました。自然災害や新型コロナといった人間の力を超えたものに襲われている今、私たちがどう生きるべきなのかのヒントが本書に詰まっています。