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あなたも3分でミステリ通になれる(仮)

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政宗九がおすすめする本です。


某店店長でもあり、ミステリマニアとしても知られる「政宗九」によるミステリコラム。
これを読めば、あなたもミステリ通です。

2021/11/18 更新

あなたも3分でミステリ通になれる(仮)


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フィクション

同志少女よ、敵を撃て

著者:逢坂冬馬

出版社:早川書房

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同志少女よ、敵を撃て

第二次世界大戦の中でも、その過酷さで特に知られる「独ソ戦」。ドイツ軍、ソ連軍、合わせて200万人以上の死者を出した戦いに、若い女性たちで構成された小隊があった――ノーベル文学賞作家・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』(岩波現代新書)や、同書を原作にしたコミック(小梅けいとさん、KADOKAWA)もあり、それらを読めばその壮絶ぶりが伝わってくる。
その「独ソ戦」における少女たちの戦いを、あまりにも見事に描き切った小説が出た。
逢坂冬馬さん『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)である。

第11回アガサ・クリスティー賞受賞作であり、本書がデビュー作なのだが、あまりの完成度の高さに選考委員全員が満点の五つ星をつけた、というほどの作品。
主人公の少女セラフィマは、目の前で母親が銃殺され、自らも危機一髪だったところを女性兵士イリーナに助けられたことをきっかけに、戦争の世界に入っていく。少女たちで編成された小隊で厳しい射撃訓練を経て実戦へ突き進む。母を殺した宿敵、イェーガーを見つけ出し、殺すために……。

平和な日常から修羅場に様変わりする村、そこから独ソ戦の戦場として有名なスターリングラード、さらにはケーニヒスベルクへ。銃などの描写のディテールと、人々の命を容赦なく奪い、セラフィマ自身も冷酷な人殺しに変貌していく「戦争」の惨劇。そんな中にも垣間見せるシスターフッドなシーン。最初から最後まで息詰まる場面が続き、ページを途中で止めることができなくなるはず。
この戦いの全貌をまとめたノンフィクションの傑作、大木毅さん『独ソ戦』(岩波新書)を手元に、戦況と同時進行で読み進めると理解が深まるだろう。

発売前の段階から、読んだ書評家、書店員の間で話題騒然となっていた作品がついに発売された。
広島地区は11/19(金)発売だ。
末恐ろしい実力派新人。その誕生の瞬間を、見逃すな。

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