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本さえあれば、日日平安

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長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2021/11/26 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

そして、バトンは渡された

著者:瀬尾まいこ

出版社:文芸春秋

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そして、バトンは渡された

このコラムで益田ミリさんの「続・僕の姉ちゃん」をご紹介(2021/09/19)した時、つきあい始めて間もない頃の妻にブローチをプレゼントしたことを書いた。
それを読んだ子どもたちから「お母さん、あのブローチまだ持っとるん?」と聞かれた妻は、「いや~もう捨てとると思うけど…」と言いながら探してみると意外にも残していたことが判明した。

それは女性の「つば広帽子」を模ったブローチだった。妻は娘に「あげようか?」と聞いたが、「いらん」と即答されたそうだ。
これがドラマなら母から娘へとバトンをつなぐように渡されるはずなのだが、現実はそうはいかない。せっかく30年以上も大切に保管(放置?)されているのに残念だ。

だからというわけでもないが、“3人のヒロインが、母から娘へとバトンをつなぐ三世代100年のファミリーストーリー”NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」を毎日楽しみに見ている。いまは最初のヒロイン・上白石萌音さんが岡山弁で熱演されている。なんともいじらしい。愛おしい。

そして何よりも台湾に嫁いだ娘が、いまもこのコラムを読んでくれていることが嬉しい。
ずいぶん会ってないけどお父さんは元気だよ~ん!

初めて台湾に行ったのは2017年の10月だった。嫁ぎ先のご両親に挨拶するためだ。
台北の桃園国際空港まで娘と先方の父親が迎えに来てくれた。これから台中まで車で2時間以上かかるので、まず空港のフードコートで食事をすることになった。

娘はあちらの家に何度も招かれているので、もちろん先方の父親とも顔なじみだ。笑顔で話している。中国語なので私には内容は分からないが、とても親しそうな感じだ。少し嫉妬した。
やがて注文していた料理が出来上がり、私たちを残して、そのまま笑顔で話しながら二人が受け取りに向かった。その姿を見ていて、「あ~なんか、もうむこう家の娘みたいじゃな~」と思わず口にした。

実際言葉にしてしまうと感情がつられてしまうものだ。何だか本当に哀しくなってきた。
娘はこれから、あの男性を「おとうさん」と呼ぶのか。そう思ったが、もっと悔しくなるので今度は言葉にしなかった。

だからかも知れない。本書を読んで、立場は違うが”二十歳しか離れていない父”森宮さんの気持ちは、よく分かった。
「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ 文春文庫

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき。大絶賛の本屋大賞受賞作。解説・上白石萌音

見ていて嫉妬するぐらいだった。だから心配ない。あちらの家族に溶け込んでいる娘は、きっと幸せになれる。

余談だが、安心した私は台湾から太って帰ってきた。これを幸せ太りと言う。だからパンツのサイズはL、本当は…

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