おすすめの本RECOMMEND
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2021/12/29 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
ノンフィクション
国語の先生、文章講座に通う
著者:中マチ子
出版社:幻冬舎メディアコンサルティング
妻がお取り寄せをしたのは山口県特産「岩国れんこん」。岩国市は全国有数のレンコン産地だと知り合いから教わり、生産者の方に直接電話をしてお願いしたものです。お取り寄せなるもの自体が初めてだったので緊張したという妻は、電話で応対してくれた農家のおばちゃんが、とても親切だったと大変喜んでいました。
それにしても、あの怖いもの知らずに見える妻でも、初めてのことは緊張するのか・・・、意外と可愛いとこあるじゃん。
届いたのは土がついたままのレンコン3㎏。あれから毎日レンコン料理が食卓に並んでいます。煮る、焼く、炒める、揚げる、どれも美味しい。なので妻の実家にも送ってもらいました。婦人誌新年号と合わせ、これからわが家のお歳暮定番になりそうです。
今日も妻のレンコン料理を味わいながら、年末最後のコラムを考えていました。年の締めくくりと言えば○○〇大賞とか〇〇〇・オブ・ザ・イヤーなどの表彰です。最近では企業や団体だけでなく、個人でもSNSなどで発表されています。ならば、ここは私も。
ただ個人的な賞でサマになるのは、それぞれの業界で名が知られていて影響力がある人たちだけです。いわゆるカリスマと呼ばれている人です。イケてない、ただのオジサンである私からでは、賞をもらう方もいい迷惑かも知れません。
どうしようかと悩んでいたところ、先日見たM-1で『こーんにちはー!』と元気に挨拶するオジサンがグランプリに輝き、とても勇気をもらいました。私は書店業界にいる時間が長いだけのオジサンですが、引け目を感じることはないのです。
ただオジサンであることが強調される『こーんにちはー!』の彼だって、私よりも10歳ぐらい下でしたけど…
とにかく、ここは開き直って今年の「本さえあれば、日日平安」大賞を発表しよう!
今年一年間にコラムで紹介した中から、最も優れた作品に贈られる賞。もちろん決めるのは私です。
ノミネートされたのは、2021年1月11日にご紹介した『警備員さんと猫 尾道市立美術館の猫』から前回の『特別じゃない日』まで、全34作品。選考のために読み返してみることにしました。
ご存じのように本の紹介というより、思い出話も含めてほとんど自分と家族のエピソードばかりです。身の周り半径3メートル以内で起きた出来事を書いているだけです。もともとが、その路線で行くと決めていました。だからタイトルも「本さえあれば、日日平安」としています。
その意味ではブレていませんが、よく恥ずかしげもなく書くな~と我ながら思います。他人からしたら、「で、それがどうした?」という話ばかりです。
これでも読む人に面白いと言って頂けるように考えながら書き、書きながら考えています。でも上手く書こう、面白く書こうと意識すればするほど、「やらかしちまった」感じになってしまいます。
どうかこんな私に大きな・・・、じゃなくて上手に書けるヒントを下さい。
『国語の先生、文章講座に通う』 中 マチ子 幻冬舎ルネッサンス新書
幻冬舎の文章講座「幸せのトンボ塾」3期分を総まとめ。講師・近藤勝重氏の言葉、受講生の作品や添削内容とともに学ぶ、読ませる作文の極意。中学生の書いた随筆、詩も収録。
誰も書いていないことを書こう。思うことより思い出すこと。論よりエピソード。要は自ら体験したネタ。自慢話より失敗談。説明より描写。現在・過去・未来の順を踏んで伝わる文章を目指そう。
最初の「作文十か条」を読みながら、これまで書いてきたコラムは、あながち間違ってはいなかった、と感じました。でも、ひらがなを大切にしよう。不必要な「私」は省略する。「思う」「感じる」「考える」で終わる文章をなるべくやめる。一文が長すぎる時は、いったん切る等々、細かく具体的なアドバイスを読むと、どんだけやらかしてきたのか、と恥ずかしくもなりました。
「中学の先生という作者の面白エピソードに笑い、生徒さんの詩にジーンときて、かつ文章の勉強になる本です」
啓文社スタッフおすすめ本フェア第3弾で本書をお勧めしていた岡山本店Oさんのコメントです。「お勧めしていた」と書いたのは、フェアは終了しているからです。もっと早く紹介すべきでした。また「やらかしちまった」のです。岡山本店には数名のOさんがいますので、どなたか分かりません。なので、すべてのOさん、すみません。
でも教えてもらって良かったです。コメントの通り、すごく勉強になりました。
「本さえあれば、日日平安」大賞も、結局決められませんでした。コラムでおすすめした本はどれも素晴らしく、やはり優劣はつけられません。お許しください。そして自画自賛ですが、私と家族のエピソード部分に関しても、すべてが絶品だと自負しています。
妻の手料理と一緒です。なんちゃって。