おすすめの本RECOMMEND
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?
2022/02/16 更新
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
ノンフィクション
家族
著者:村井理子
出版社:亜紀書房
自分が子どもを持って、あらためてその力に慄いている。
家族。
息子には、野鳥のようにこの『家族』から飛び立って欲しいと思う。
ある日、自分の翼にじゅうぶんな力があると気づいたら、二、三試しに羽ばたいて、それから矢のように空に吸い込まれて行って欲しい。あっさりと。
翻訳家、エッセイストである村井理子さんの、今はもういない、かつて四人家族だった父、母、兄について、彼らを探すように書かれてゆく本です。
彼らみんなの、苦しみにわたしはきっと寄り添ってあげられる。
そんな風に読んでいて思うのは、わたしが彼らと『他人』だからだ。
他人からみたら、それは可能なように思うのは『家族』ではないから。
『愛』で縛られていないから。
『家族』のなかで『正しさ』や『愛』だと信じて振り下ろしてしまったものたち。
わたしは常に間違っている可能性がある。
そんなおまじないの言葉をとなえながら生きるようにしています。