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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2022/02/28 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


フィクション

へいわって どんなこと?

著者:浜田桂子

出版社:童心社

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へいわって どんなこと?

子どものころ土曜日が好きでした。当時の小学生は皆そうだったと思います。
半ドンで授業は午前中だけ、校庭で校長先生の話を聞いてから集団下校。一旦家に帰り、昼ご飯を食べて同級生の家に集まります。グループ学習というものです。

男子も女子も一緒で6人ぐらいの班に分かれています。毎週だったかどうか覚えていませんが、順番に同じ班の一人の家に行き、宿題を済ませてからみんなで遊んでいました。私は宿題がなかなか終わらず、いつも途中やめで遊びに加わりました。そう言えば、この世には「教科書ガイド」という素晴らしい本があることを知ったのも、その頃でした。

高学年になると女子は明星(Myojoではなく漢字)や平凡などのアイドル雑誌を購読しており、勉強そっちのけで読ませてもらっていました。男子はブルース・リーのものまねをしてふざけ、女子は創刊されたばかりの『花とゆめ』の話をしていました。「ガラスの仮面」の連載がまだ始まる前のことです。
兄や姉のいる家ではギターやレコードが置いてあり、恐る恐る(内緒で)触らせてもらいました。弟や妹のいる家では、子守もかねて一緒に遊びました。私にも妹がいますが、兄と私の男兄弟だったので、お姉さん達の仲間に入れてもらい、それは嬉しそうでした。

ひとしきり遊んで家に帰っても、まだまだ土曜日です。TVも夜遅くまで見られます。大橋巨泉の「お笑い頭の体操」からドリフの「全員集合」、そして千葉真一のアクションに熱くなった「キイハンター」。ドラマの内容はハードボイルドなアクションだけでなく、ホラーだったりSF風だったり、また子どもは見てはいけない“大人”な感じもして色んな意味でテンションが上がったのを覚えています。

日曜はもちろん朝寝坊が出来ますが、田植えと稲刈りの農繁期だけは子どもも朝から駆り出されます。田植機やコンバインなど機械が入れない狭いところ、田んぼの端っことかは人力です。嫌々でしたが、何事も始めてみると案外面白いものです。
また稲刈りが終わった後、祖母が田んぼに集めたもみ殻で焼き芋をつくってくれるのも楽しみでした。

私が、そんな小学生だった頃、ニュースで報道されていたのがベトナム戦争でした。自分と同じような子どもたちが、戦渦に巻き込まれて逃げ惑う姿が映し出されていました。

日本でこうして家族と暮らし、土曜日になるのを楽しみにしている私には、想像もできない現実がそこにありました。
戦争はいけないことだとみんな分かっているはず…何で戦争をするのか?と思わずにはいられませんでした。

せんそうを しない。
ばくだんなんか おとさない。
いえや まちを はかいしない。
だって、だいすきな ひとに いつも そばにいてほしいから。

日本・中国・韓国の絵本作家が手をつなぎ、子どもたちにおくる平和絵本シリーズの1冊。
浜田桂子・著『へいわってどんなこと?』 童心社

いのちは ひとりに ひとつ、たったひとつの おもたい いのち。
だから ぜったいに、ころしてはいけない。ころされたら いけない。
ぶきなんか いらない。

日・中・韓だけでなく、多くの国で、多くの人に読まれるべき絵本だと思います。

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