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いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?
2022/03/23 更新
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
文庫
ロボットには尻尾がない 〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短編集
著者:ヘンリー・カットナー
出版社:竹書房
ギャロウェイ・ギャラガーは天才科学者である。
しかしその天才っぷりは、泥酔している時にしか発揮されない。彼の潜在意識が作り出した発明品は、しらふの時の彼には理解が難しい謎の物体だ。酔っぱらってそれを造り出した時のことも思い出せない。
二日酔いのギャラガーが目覚める。
目の前には、なぞの物体とその成果。
怒り狂う依頼者。
逮捕状と共に訪れる警察官。
異星人の侵略者。
裏庭の死体。
鏡をうっとりと見つめ続けるナルシストロボット。
自身の潜在意識〈Gプラス〉が生み出した謎を解くため、愛用の発明品〈酒供給器〉のスイッチを押しアルコールを無限に供給しながら全く協力的でない相棒のうぬぼれロボットと大騒動を生み出します。
『おれは何を造ったんだ?』
潜在意識の作った発明品は、常人にはとても理解できないようなシロモノ。
犯人は自分。犯行・動機なにもかも不明。各方面に追われながら自分の尻尾を追いかける酔っ払い。
いやもう最高です。
そして全然知らない謎の作家。え?帯コメントがラヴクラフトとブラッドベリ??
1915年生まれ!???うそ、この小説いつ書かれたものなの!?
作者からして天才過ぎます。この短編集のほとんどが、79年前に書かれたものだなんて信じられない。
いろんな名義で小説を発表しすぎて、SF小説の有望な新人が現れるたびにカットナーの別名義なんじゃないかと疑われたとか、ヘンリー・カットナー自身が面白過ぎる。
とにかくたのしい気分になれます!