今年で19回目を迎えた「本屋大賞」。本書は4月6日に発表されたばかりの大賞作品。著者デビュー作でありながら、史上初めて選考委員全員が満点を付けて「アガサ・クリスティー賞」を受賞し、今年1月の直木賞候補作にも選ばれるなど、事前から注目を浴びていました。

そして本書の舞台となるのが第二次世界大戦中のドイツとソ連の戦い「独ソ戦」。今のウクライナ侵攻とどうしても重なりますが、侵攻が始まったのが2月24日で、今年の本屋大賞の最終投票締め切りは2月28日でしたので、今回の事態を抜きにしても大賞に選ばれていたでしょう。それほどの力作です。

本作中にはウクライナの少女も登場し、ウクライナとロシアの当時からの関係が克明に描かれています。今あらためて戦争の悲惨さ、やるせなさが胸を衝きます。「戦争とは何なのか」を突きつけ考えさせられる、今読まなければいけない1冊。