身近な例もふんだんに交えた丁寧な説明で、難しくてとっつきにくい印象の強い現代思想への興味を損なうことなく読み進めていくことができる。
わかりやすさへの工夫と並んで特徴的なのが、本文中でたびたび紹介される、それぞれの思想家や思考法にまつわる入門書を中心とした関連書籍の豊富さ。
「入門書のための入門書」と著者が宣言するだけあって、本書をきっかけに読み手がそれぞれの興味に従って次に進むための配慮がなされている。
かつ、付録の「現代思想の読み方」は一種の読書論として、読書の基本姿勢について有用なアドバイスを与えてくれる。
今「きちんとする」ルール通りにキレイに社会が動くようにしたい。
いろんな改革が進んでいき、窮屈になってきていると著者は指摘します。
秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、「差異」に注目することで、人生の多様性を守るために現代思想が必要になってくるのかもしれません。