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あなたも3分でミステリ通になれる(仮)

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政宗九がおすすめする本です。


某店店長でもあり、ミステリマニアとしても知られる「政宗九」によるミステリコラム。
これを読めば、あなたもミステリ通です。

2022/04/19 更新

あなたも3分でミステリ通になれる(仮)


政宗九がおすすめする本です。


フィクション

星降り山荘の殺人

著者:倉知淳

出版社:講談社

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星降り山荘の殺人

「どんでん返し」の伝説的名作として特に知られている作品です。
雪のため外界から遮断された山荘で起こる連続殺人の意外な犯人とは……?
私は講談社ノベルス版で新刊発売時(1996年発表)に読み、それはそれはめちゃくちゃ驚いたものです。
「どんでん返しの隠し玉」だと個人的に思っていたら、いろんな人が「どんでん返し」作品の名作として挙げていたので、なんだ有名なんだ、と思った記憶があります。
最近だと本読みYouTuberさんもよく紹介されていますね。

本書は冒頭から、なにやら挑発的です。
いきなり、こんな文章が「注釈」として書かれており、面食らうはず。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まず本編の主人公が登場する
主人公は語り手でありいわばワトソン役
つまり全ての情報を読者と共有する立場であり
事件の犯人では有り得ない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この注釈が章ごとに書かれています。小説を読むガイダンスになっているから便利だなあ、と思っていたら……きっと騙されますよ。

ちなみにこの「注釈」の趣向には前例がありまして、都筑道夫さんの『七十五羽の烏』という作品(1972年発表)に、こんな感じの注釈が入っていました。
『星降り山荘の殺人』の著者・倉知淳さんもちゃんと、『七十五羽の烏』に触発されたものであると明言されています。
ただし、『七十五羽の烏』は現在入手困難です。残念。

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