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本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2022/04/25 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
文庫
隠居すごろく
著者:西條奈加
出版社:KADOKAWA
家族で映画を観に行きました。父親と息子の絆を描いた物語『とんび』。重松清の原作は読んでいます。たぶんコラムにも書いたはず・・・と遡ってみると10年前(2012年1月15日)でした。幼い頃の息子が百貨店(駅前の天満屋)で迷子になった時のエピソードをまくらにしています。
「そんなこともあったな~」、自分で書いておきながら懐かしくコラムを読み返していたら、色んな思い出が蘇りました。
二段ベッドを買ったのは、娘が小学一年生になったとき。息子はまだ3歳でしたので、とりあえずは小学生になる娘だけでもひとりで寝起きをさせてみようと考えました。
すると息子が「ぼくもベッドがいい」と言い出し、それまで家族4人一緒だったのが、急に大人と子どもで分かれて別々の部屋で寝るようになりました。
子どもたちの成長が嬉しいような、でも親離れ(大げさですが)していくのが寂しいような、ちょっと複雑な気持ちでした。
それから息子の寝る前の儀式が始まりました。「おやすみ~」と言っては母親のほっぺにチュ。
もうすぐ27歳になる息子にそれを言ってからかうと、「やめろ!言うな~」と照れます。でも家政婦・・・じゃなくて父は見た。本当のことです。息子は「アンパンマンみたいなほっぺがすき~」と言いながら、チュというより“ぶっチュ~”という感じの熱烈なキスをしていました。
ちなみに私も娘からのチュを期待してさりげなく促しましたが、「え~っと・・・きょうは大丈夫」と拒否られました。
でも、いつならいいんじゃろか?
娘さんをお持ちのお父さん。なるべく小さいうちにベタベタしてもらっておいた方がいいですよ。
小学生になると“女の子”から“女子”に変わります。後悔する前に是非。
話を映画に戻すと、「とんび」観に行かん?と誘ってきたのは息子です。彼は、最近仕事で行くことが多い岡山県でロケが行われていたと知り興味が湧いたそうです。
いい映画でした。話の筋は知っているのにウルウルしました。阿部 寛と北村匠海の親子は、まるで私と息子のように・・・と言いたいところですが、全然似ていません。平たい顔族の私たちと違って濃く、そして熱い。そこが良かった。もちろん全編にわたる備後弁も。
恥ずかしながら、ここ何年も映画を観ていませんでした。やはり映画は映画館で観るものだと今更ながら思いました。
今回は、私と息子がペア50割(男女問わずどちらかが50歳以上)で入場しました。2人で2,600円、ひとり1,300円です。特別な日でなければ、通常の一般基本料金は1,900円なので、この差は大きい。
さらにシニア(60歳以上)なら何時でも1,200円です。文庫本の平均定価が800円を超えたいま、この差はとても大きい。
もうすぐ私もシニアの仲間入りです。そうだ!これから月に1本は映画を観よう。年をとるのも悪くない。
何度も目頭が熱くなる。いい小説だ。 ― 解説:北上次郎
『隠居すごろく』 西條奈加 角川文庫
巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。主人の徳兵衛は、三十三年間の仕事一筋の生活に終止符を打ち、還暦を機に隠居することにした。人生がすごろくならこれは上がりだ。だが、孫の千代太が住処にきて静かな日常は一変。犬や猫を拾っては連れてくる孫に「そのやさしさを人のために使ってみてはどうだ」と諭した徳兵衛は、千代太の仲間に囲まれ、賑やかな日々を送ることになる。
第二の人生の上りはいったいどこに?心揺さぶる時代小説。
還暦後の妻との映画デートがいまから楽しみです。チャーミーグリーン(昔のTVCM)の老夫婦のように手もつなぎたい。映画の後はおしゃれなカフェで・・・夢は広がります。そうだ今日は25日、タウン情報『Wink』買わんといけん。
「月一回の映画?いいよ、でも私も色々と忙しいから現地集合、現地解散ね」
それってデートですか・・・