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三島政幸 がおすすめする本です。
啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。
2022/05/18 更新
スタッフのおすすめ
西条店
三島政幸がおすすめする本です。
フィクション
プロジェクト・ヘイル・メアリー
著者:アンディ・ウィアー
出版社:早川書房
内容を紹介したくても、絶対にできない小説、という作品が、ごくまれに出てきます。
小説を紹介するなら、ある程度のあらすじは必要、だとは思うのですが、ほんのさわりくらいしか紹介できない、いや、さわりすら紹介しない方が絶対に楽しめる、そんな小説です。
どこにあるかって?――ここにあります。
アンディ・ウィアーの大傑作SF『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(早川書房)です。
アンディ・ウィアーは、あの映画化された『火星の人』(映画のタイトルは「オデッセイ」)の著者。火星に一人取り残された人間がいかに生き延びるか、そして地球に帰還できるのか、を描いた『火星の人』の作者が書くSFなのだから、またすごい話に決まっています。それは……おっと、もう言えない。ほら、さっき「さわりすら紹介しない方が絶対に楽しめる」と書いたじゃないですか。
でも、全く紹介しないのも不案内なので、そうだな、冒頭の7ページだけ(要約して)教えます。
「二足す二は?」
主人公が目覚めた時、コンピュータの声が聞こえた。
意識が朦朧としており、思考が上手くできない、声もはっきりと出せない。
「よお……おおお……ん」
とやっと言ったが、
「不正解。二足す二は?」
くそっ。
「よおおん」
「正解」
やった。
主人公は酸素マスクをして身体中に電極が付けられていた。この状況が示すものは、なんだ?
「あなたの名前は?」「ええ……」「不正解。あなたの名前は?」
どうやら、名前を答えない限り先に進めないらしい。でも……ぼくの名前は?
はい、ここまで。
そう、まだ何も始まってません。でもね、ここから、本当に予想外の展開が次々に待ち受けるのですよ。
どうせまた『火星の人』みたいに、宇宙に一人取り残されてるんだろ? と思うかも知れませんが……ちょっと、いや、かなり違います。
それがどんな展開かは……まあ、騙されたと思って読んでみてください。
できれば、書店で買ったら、オビなどを読まずに一旦外して読んだ方がいいかも。
それくらい、「どんな話か」をシャットダウンした方が絶対に面白いです。
あ、ひとつアドバイスを。少し難しい箇所も出てきますが、とりあえずあまり深く考えずに読み進めましょう。
多少の難解な部分は気にしなくても大丈夫。
格別の面白さを保証します。
さあ、センス・オブ・ワンダーに満ち溢れたアンディ・ウィアーのSFの世界へ!