今年のゴールデンウィークはお出かけしたという方も多かったのではないでしょうか？
旅の空間での束の間の非日常が、傷を癒し、新たな出会いのきっかけを作る。あるいは人生を変える、なんてこともあるかもしれません。
「伊豆の踊子」で描かれるのも、そんな旅の途中で出会った二人の男女の物語。20歳で主人公の「私」は"とある苦悩"を抱え、逃げるように伊豆を訪れ、そこで一人の踊子と出会います。
彼女に惹かれた「私」は踊子ら旅芸人の一行と共に旅をすることになります。温泉、二人で見た月、下田の港、屈託のない踊子の笑顔。素直な踊子の言動は頑なだった「私」をほだし、旅の中で二人は次第に心を通わせていきます。

しかし、いづれ旅は終わるもの。
募り募った二人の感情は何処へ向かうのか。そして「私」はこの旅の終わりに一体何を思うのか。表題作「伊豆の踊子」を初め、他にも川端康成の傑作短編を三作品収録。小さな旅に出るような気持ちで、是非一度読んでみてはいかがでしょうか。