14歳という年齢で、パニックに陥りやすい弟や薬に溺れる母親の面倒を見ながら学校に通うミア。
今問題となっているヤングケアラー、まさにそのものと言えます。
弟のお迎えのために部活にも入れず、生活保護のお金は母親の薬代に消えてしまうため食事もまともに取れません。

立ち寄った図書館で出会ったのが、遠い日本で生きてきたカネコフミコの自伝。
イギリスの団地で生きる自分とは違う国や時代のはずなのに通じるものを感じ、本にのめり込んでいきます。
そんなある日、国語の課題で書いたラップの歌詞を同級生のウィルに褒められ、音楽活動に誘われたところから彼女の世界は変わっていきます。

不安定な生活の中で、しっかりしなければと自分を奮い立たせて生きているミアの姿には胸が締め付けられそうになりますが、同時に目を背けてはならない世界であることを痛感させられます。