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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2022/07/27 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

ぼくらに嘘がひとつだけ

著者:綾崎隼

出版社:文藝春秋

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ぼくらに嘘がひとつだけ

エリート棋士を父に持つ京介。
成績の振るわなかった元女流棋士を母に持つ千明。
ふたりの天才少年はお互いを良きライバルとして共に棋士を目指します。
そんなふたりに、出生時、取り違えられていたかもしれない疑惑が持ち上がります。
ふたりが出会ったのは運命か、それとも…。

棋士はなぜ、将棋を選ぶのか。常人とは明らかに違う天才たちは、その頭脳で他のどんな偉業だって成し遂げられそうなのに、なぜその身ひとつで、全てを、命を懸けて闘い続ける道を選ぶのか。
息をするように全てを将棋に捧げられるそんな特別な人間だと、思っていたら。
この物語に出てくる棋士ひとりひとりの苦しみ、悩み、愛や情。しかしすべての思いを超えて彼らを強く突き動かすそれぞれの夢。別の人間の強い想いが、まるでひとつの大きな得体のしれない生き物のようにうねり、動き出すように見えました。
それぞれの絆が、苦しくも美しい。
血や愛じゃなくても、闘うことでも繋がっていける、なんて世界だ。なんて道なのだろう。

全ての登場人物たちに闘い抜いて納得してほしい、自分の夢に、意志のはてに行き着いて欲しい。
彼らの幸せよりも、そう強く願ってしまいました。

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