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roaroa がおすすめする本です。
啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。
2022/07/03 更新
スタッフのおすすめ
BOOKS PLUS 緑町
roaroaがおすすめする本です。
文庫
野火
著者:大岡昇平
出版社: 新潮社
敗北が決定的となったフィリピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける…。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的作品である。
私はこれをNETFLIXで映像化されたものを見て、原作を読みました。
正直、後味も悪く、怖い。でも心に残るものでした。
お金さえあれば、何でも買える今の時代。
でも、お金があっても、食べるものを供給する元が絶たれて、水や塩すらも手に入らず空腹の中、敵からも身を隠しながらそこから抜け出せない。
そんな状況を想像するだけでも、恐ろしくないですか?
もし今その状況が自分に降りかかったら、私はきっと何もできず、あきらめるか、発狂してしまうだろうと思います。
戦争という言葉を最近よく耳にしますが、戦争は何一つとして残さない。ただ、悲劇の記憶としてしか残らない。人間は学ぶことができる生き物です。
決して戦争というものを正義のように振りかざしてはいけないのだと、私は思います。戦争の体験のない私たちの世代は、その戦争の悲劇を本で知ることができます。
この時代だからこそ、読んでいただきたい。
映像化されたものもぜひ、見てみてください。
そこにあるのはあの第二次世界大戦の現実です。