舞台は東京・新小岩の商店街にある居酒屋『米屋』。
幽霊に纏わるくだりは読んでのお楽しみ！として兎にも角にも米屋の気取らない居酒屋メニューの美味しそうなこと！謎めいた女将さんの小粋な料理に舌鼓を打ちつつ、客の心はホッピーの泡とともに柔らかく弾けてゆく。

お出汁のゼリーに油揚げの味噌チーズ挟み・鱈とアサリの紙包み焼きなど、酒呑みの胃袋を掴んで離さない肴の数々。
すすめ上手の女将さんは客の身の上話に耳を傾けながら、来る日も来る日も料理を作り続ける。
そんな米屋を訪れる色とりどりな面々はこの世のものか、はたまた冥土の魑魅魍魎か…

「霊は生きている人を苦しめたりしないが、助けることもできない。ただ見守っているだけ。」という女将さんの言葉に心の澱が消え去ります。

ほっこりな温かさと不思議さが同居する居酒屋ストーリー、ぜひご一読を。