少年少女たち。
愛されていないと価値がないと怯える。
自身の苦しみの原因を他者に求める。
ありのままに何よりも憧れるけれど、それよりも完璧なストーリーの中の自分を求めている。
少しの歪みも、くもりも、欠けやヒビも耐えがたく感じている。

あの頃。
小説が、物語が確かにわたしを救った。
私のために書かれ、わたしの気持ちをそっくり救い上げてくれた。
そのことを知っているから、わたしは書店員をしています。
やわらかな心をむき出しで抱えたまま、死線を潜り抜け、あの日々から遠い場所に立っていていつの間にか忘れかけていた。
この物語は『わたしだけの苦しみ』を嵐のようになぎ倒してくれる物語です。

あの頃のわたしと、いまのあなたたちへ。
花束のようにこの本を抱えて、どうか走り切ってください。
苦しくて恥ずかしくてみじめで情けなくてかけがえのない美しい日々を。