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スタッフのおすすめ
佐々木 大佑 がおすすめする本です。
啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。
2022/09/30 更新
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岡山本店
佐々木 大佑がおすすめする本です。
文庫
尾崎放哉全句集
著者:尾崎放哉
出版社:筑摩書房
俳句。短歌でもいい。こうした日本の古典的な文芸に対して難しい、堅苦しい、よく分からない…そういった印象を抱いている人は多いと思う。なにせ、この文章を書いている僕だってそう思っている。たかだか10数字程度の日本語の羅列で心象や情景を表現するなんて、それって凄く高度なことだ。
しかし、風情も情緒も解せない僕も音楽くらいは聴く。ミーハーだから流行りのものを普段は聞きかじっているが特別好きなアーティストもいくつかいる。その中の一つがヨルシカだ。彼らの音楽は毎回楽しみにしている。ヨルシカ?カモシカ?と首を傾げているそこのあなたは本なんて読んでないで音楽サイトか何かを今すぐ開いて検索してみてほしい。多分「ヨル」まで打ち込んだら予測変換に「ヨルシカ」と出てくる。
彼らの代表曲のひとつに「思想犯」というものがある。その楽曲の詩が、話は戻るが俳人・尾崎放哉の俳句とその晩年をオマージュしたものになっている。「思想犯」そのものに対する感想についてここで書くのはよしておく。人によって抱く感想なんてさまざまでいいのだから、ただ僕はこの曲が好きだと思った。そして、この曲から放哉の俳句に興味を持ち、この本にたどり着いた。
タイトルにあるようにこの本は放哉の残した俳句をまとめたものだ。正直に言うと風情も情緒も分からない、秋は月見バーガー食うよね、くらいの僕からすれば放哉の言葉は難解だった。だけどそれでも、心に残ってしまって空でも口ずさめる句がいくつか出来た。よく考えれば、この本には放哉の、一人の人間の一生分の言葉が溢れているのだ。すべてを受け止め切れないのは当たり前だ。だからこそきっと、それでも心に残った句はいいものなのだと思うことにした。
最後にこの本の中で紹介されている尾崎放哉の句の中で僕が好きなものを一つ添えておく。
人をそしる心を捨て豆の皮むく
この句の何がいいかなんて他人に説明できない。俳句は心で詠むものなのだ!と適当なそれっぽいことを言っておく。(勢い)