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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2022/10/12 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


コミック

トクサツガガガ①~⑳

著者:丹羽庭

出版社:小学館

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トクサツガガガ①~⑳

愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない
決して負けない強い力を僕はひとつだけ持つ

オタクの、推しへの想いの歌です。(違いますTHE BLUE HEARTSです…)

こんなものが、何の役に立つの?
友達や恋人や家族や仕事。互いに助け合うそれらと違って、特撮やアニメや漫画や他にもさまざまな『推し』たちに向けたわたしたちの強い想いは一方通行のようにみえる。
現実に存在する推しもいれば、架空の世界に存在する推しもいる。
わたしはいつも、流星群のように次々と推しから強い想い(勇気・ときめき・エモ・感動・熱意・癒し・ブレイブなどなど)を受け取っている。
本物じゃない、なんて誰にも言わせない!!!

戦隊ヒーロー、ウルトラマン、SF映画。いわゆる特撮のいいところは、ちゃんと本当なところだった。爆発が起き、火花が散り、ヒーローはぶっ飛ばされて地面を転がり倒れる。ロボは何がどうしてかはわからないけれど変形して合体する。だいたい博士が頑張って作っている。本当の街のビルの間から現れる怪獣、ヒーローロボット。ひとりでは勝てない。仲間で力を合わせなければ。でも戦隊はたくさんいるから(最近は特に…)みんながみんな仲良しじゃない。ケンカしたり、気が合わなかったり。でもみんな、同じ心を持っている。本当に地球を救おうとしている、正義の心。エンディングのダンス、ほっとして楽しい。オープニングの歌、最高に滾る、カラオケで歌うと人生最大の声を出せる。1年かけて、観ているわたしたちと同じように、彼らも成長してゆく。

この漫画の主人公叶ちゃんの、特撮オタクを隠したい気持ちはよくわかります。
子どものときはみんな夢中になって観ていた。けれどみんな卒業していった。
わたしも、まだ観てるの?って友達に笑われて、母にあきれられて、観ていないふりをして、いつのまにか忘れてしまった。
男の子を育てて、また戦隊ヒーローを観るようになって、なんてすばらしいんだと思った。全身全霊で物語に飛び込める子どもだけの…と思ったらわたしもいつのまにかその世界に飛び込めている。
そうか。わたしも子どもの頃に本物の世界に行ったことがあるんだ。だから何度でも飛び込める。

『一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで』
銭婆の言ったとおりだった。思い出せないだけで、ずっとわたしの中にもあった。

トクサツガガガを読むときはうちに誰もいないときにしています。
とにかく泣いてしまうので。
感動でも泣き、なんか、ヒーローの立ち姿だけでも泣ける。
叶ちゃんと吉田さんが楽しそうにしているのを見るだけで泣く。
特撮作品への大人になったからこその鋭いツッコミに笑い泣く。
胸がどきどきわくわくして泣く。
ダミアンが出てきたらだいたい泣く。

特撮が大好きなあなたへおすすめです。
特撮に詳しくなくても何かに夢中になっている人すべてにおすすめです!!
共感で泣く。




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