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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2022/11/03 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

ふるさと銀河線 軌道春秋

著者:髙田 郁

出版社:双葉社

ショッピングサイト
ふるさと銀河線 軌道春秋

セルフレジになりました。お客様ご自身でバーコードをピッっとしていただき、精算まで行っていただくものです。
不安です。もちろん、この私自身が、です。上手く説明ができるだろうか?それ以前に昭和なオヤジの自分が使いこなせるのか?
エラーが発生した時、レジより何より真っ先に私がフリーズしたりして…

働き始めた頃はPOSレジではありませんでした。電卓の親分といった感じのレジでした。それもレジキーはタッチするとか押すというのではなく、打つものでした。
えぐりこむように打つべし!打つべし!打つべし!(「あしたのジョー」ちばてつや/講談社)ってな感じで。

本を受け取って瞬時に分野を判断します。値段だけでなく分野も打ち込むからです。○○〇円文庫とか〇〇〇円の雑誌が2冊・・・といった具合です。
判型をはじめタイトルや著者名など、見た目で判別できる商品ばかりではありません。エッセイ(文芸書)なのか自己啓発本(ビジネス書)なのか、健康書(実用書)なのか闘病記(文芸書)なのか、同じ写真集でもアイドルと風景では分野が違っていたり、はたまた○○〇文庫というシリーズ名の児童書だったり、文庫サイズの単語集(学習参考書)だったり、新人には分かりにくいものが多数あります。

例え分野が違っても値段さえ間違えずにレジ打ちすれば良いのでは、と思われるかもしれません。
確かにとりあえずは良いのですが、管理している担当者は分野の間違いを見過ごすわけにはいきません。自分の担当分野の売上実績に関わるのですから必死です。紛らわしい場合はスリップ(書名や出版社名が書いてある本に挟まれている短冊)にあらかじめ分野を書き込みました。文芸書で打つべし!打つべし!打つべし!ってな感じです。

大量のご注文品をうっかり間違った分野の売上にしてしまい、後で担当者に謝ることもありました。
「いや、おかしいなと思っとったんよ。まぁ、どっちの売上になっても僕はええけどな…」と先輩は許してくれました。間違った分野と正しい分野の両方ともを担当されていたからでした。
スリップを整理しながら日別の売上データをノートに記入されていた先輩は、その書名と売れ冊数も書き込んでいました。翌年の同月同日、売上が突出して高い理由が分かるように。

パソコンが普及する前は、レジ操作もデータ付けも、入荷した新刊でさえ書名や出版社名をノートに手書きで記入していました。もちろんPOPも手書きです。どの店にも必ずPOP職人と呼ばれる名人がいました。もとい、今でもいます。
ちなみに消費税もありませんでした。初めて3%の消費税が導入(1989年4月)された時は、レジの設定変更や値札の貼り替えで、今回のセルフレジ導入以上に不安で、みんな浮足立っていました。

な~んて昔を懐かしんでいるうちにセルフレジ初日を迎えました。もちろんメーカーさんからの研修を受け、レジを練習モードに切り替えて繰り返し訓練して臨んでいます。
結局は、「案ずるより産むがやすし」でした。今では多くのお店がセルフレジになっています。お客様は「あっ、レジが変わったんじゃね~」と驚かれていましたが、大きな混乱はありませんでした。

気付いたのですが、以前よりお客様との会話が増えたように思います。もちろん、すぐ横で操作のご説明をさせて頂くからですが、これまで感染防止シート越しだったのが、文字通りお客様に寄り添って接客が出来ているからではないでしょうか。
個人的な感想ですが、対面よりもいい雰囲気(変な意味ではありません、念のため)になるのです。

セルフレジデビューのご年配の方と一緒にレジ操作をします。雑誌に手を添えて「こんな感じです」、とバーコードを読み込ませます。
なんだか「さあ、初めての共同作業です!」といった趣があります。

人は寄り添うと、自然に穏やかで優しい気持ちになるものです。
「ふるさと銀河線 軌道春秋」 髙田 郁 双葉文庫

大ベストセラー「みをつくし料理帖」、「あきない世傳 金と銀」シリーズの著者が、初めて現代の家族を舞台にした珠玉の短編集。ふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動く少女が主人公の表題作をはじめ、遠い遠い先にある幸福を信じ、苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながら描いた感動的な9編を収録。第10回大阪ほんま本大賞受賞作。
なかでも「車窓家族」が印象的でした。電車の窓の向こう、文化住宅の一室に老夫婦の姿が見える。 いつもの時間に明かりが点いていない。車内で心配していたのは、自分だけではなかった。まるで大阪版オー・ヘンリーの物語のようでした。

セルフレジになって数日後のことです。お問い合わせカウンターで待機していると、小さなお子さんから「お願いします」と絵本を差し出されました。
レジの方へご案内しようとすると 「すみません、受け取ってやって下さい」とお母さん。
お店の人に商品を渡しお金を払う。 お釣りをもらい挨拶して帰る。 そんな体験がしたかったそうです。

セルフレジになりましたが、無人ではありません。お気軽にスタッフにお声かけ下さい。

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