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三島政幸 がおすすめする本です。


啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。

2022/11/05 更新

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三島政幸

がおすすめする本です。


ノンフィクション

史上最大の木曜日

著者:戸部田誠(てれびのスキマ)

出版社:双葉社

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史上最大の木曜日

「ニューヨークへ行きたいかー!!」

福留さんの叫び声が懐かしい、アメリカ横断ウルトラクイズ。
ですが、若い世代はもう知らない人も多いのでしょうね。
当時の映像などを今観ると、いかにもバブリーというか、日本にお金があった時代を象徴するような番組でした。

挑戦者たちは日本からアメリカへ向かい、各地のチェックポイントでクイズに勝ち抜きながら、決勝地・ニューヨークを目指す。
優勝者は「クイズ王」と呼ばれました。
今は割と普通に使われる「クイズ王」という呼称は恐らく、この番組から生まれたのではないでしょうか。
ウルトラクイズから派生して誕生した、高校生版の「高校生クイズ」は、現在でも毎年開催されています。

『史上最大の木曜日』はもちろん、ウルトラクイズをテーマにした本です。ここで切り取られているのは、1989年の第13回ウルトラクイズです。クイズ王になった長戸勇人さんを中心にした群像劇として当時の人々の言動を見事に再現しています。
ウルトラクイズファンにとって、ウルトラ史上屈指の名場面として知られるのが、第13回のボルティモアで行われた準決勝「通せんぼクイズ」でしょう。
長戸さんのほか、永田さん(当時TVに出始めた頃のMr.マリックのハンドパワーで敗者復活して勝ち抜いてきた、という物語が番組内で生まれ、いつも「ハンドパワー」Tシャツを着てました)、秋利さん(大声クイズで「長戸帰れー!」が決めセリフになり、長戸さんの「秋利帰れー!」とセットでライバル関係が演出されました)、そして田川さん(他の3名が学生だったのに対し、唯一の社会人。ですが、元東大クイズ研メンバーで、伊沢拓司さんたちの大大大先輩にあたります)。
この4人によるクイズは、福留さんも「13年の歴史の中で、最も素晴らしい戦いだった」と番組内でも絶賛されたほどでした。
用意していたクイズだけでは決着せず、休憩をとって、その間に急遽問題を作ったという逸話も有名です。
本書は、このボルティモアの攻防戦はもちろん、ほぼ全行程における挑戦者たちの裏話が満載なのです。
挑戦者たちだけでなく、番組を作ったスタッフたちの苦労話も多く紹介されています。

優勝した長戸さんも、準優勝の永田さんも、元々クイズプレイヤーとして有名な存在でした。その過去の物語にも触れられています。
第11回のクイズ王・稲川さん、12回のクイズ王・瀬間さんとも交友があり、なんと、第2回の北川さんとも付き合いがあった、という知られざるエピソード満載です。

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