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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2022/11/13 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

告白

著者:湊かなえ

出版社:双葉社

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告白

この本を、今読んでしまった。
中学一年の息子を持つ母親である今…!!

怖い怖いとの噂で、今まで読まずに来ていたこの小説。
本当に、ほんっとうに、こわい!!
何が怖いって、子どもをもって以来常におののいている『母親』という力。こんなにも子どもは、わたしを求め、わたしの言動で揺さぶられ、わたしが指一本動かすだけで運命がぐるぐると向きを変える。そして子どもという存在が、わたしを突き動かす謎の力。バーサーカー的に限界を越えた力、子どもを守るために、心の中は愛というよりほとんど世界への怒りに満たされる毎日。
この『母親』という恐ろしい力が、これでもかと小説の至るところで振るわれています。母親が猛威を振るっています。

愛って狂ってる。でもそれって太古の昔からだろうから、今のわたしが、今の子どもたちだけが特別押さえつけられ、苦しんでいるわけではないのか。わたしの子どものころと違っていても、この生徒たち一人一人の鬱屈がわかる。きっと世界中の人にわかる『わたしだけの特別な苦しみ』。

読んでいるとわたしが普段自分の本音だと思っているものが引き剥がされて、別の顔がむき出しになります。暴かれるのは登場人物だけでなく、不意にこちらにも目を合わせて来ます。

それでも、間違っていても正しい振りをして力を振るう大人と子どもたちに愛しさと憎しみを同時に感じます。こんなの同時に感じることってあるんだ…。

悪意も善意も怖い。他者も自分も怖い。思ってたのとぜんぜん違う思いもよらない怖さでした。

あ、あともうアレ飲むの怖い…!


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