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三島政幸 がおすすめする本です。


啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。

2023/01/08 更新

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三島政幸

がおすすめする本です。


ノンフィクション

本屋で待つ

著者:佐藤友則 島田潤一郎

出版社:夏葉社

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本屋で待つ

「ウィー東城店」という書店をご存じでしょうか。
広島県庄原市東城にある書店ですが、特に書店業界内では有名です。
実は私は、同じ広島県にあるのに、ウィー東城店にはまだ行ったことがありません。広島県の北東、もう僻地も僻地にある書店で、アクセスがとにかく悪い書店なのです。私は車を持っていない人間なので、交通機関の便も悪いウィー東城店に行くにはかなりの覚悟が必要なのです。
そんな過疎地区にある書店なのに、地域の皆様から愛されており、東城といえばウィー東城店、というくらいの存在なのです。書店がどんどん減ってどこも経営が厳しい、と言われる中、とにかく元気な書店、と断言していいと思います。

ウィー東城店の社長であり『本屋で待つ』の著者、佐藤さんとは何度かお目にかかったことがあります。本のイベントだったり、商談会だったり……。私がゆめタウン呉店の店長をしていた2018年に発生した西日本豪雨災害の時、わざわざ東城から車で呉まで来てくださったこともありました。豪雨災害での書店の状況を取材されていたライターさんの送迎をされたのが主でしたが、直接激励してくださって嬉しかったのを覚えています。

そのウィー東城店の物語を一冊にまとめたのが『本屋で待つ』です。ですが、この本は決して書店経営のノウハウを紹介した本でもなければ、倒産寸前だった書店を先代の社長(佐藤さんのお父様)から引き継いで立て直した自慢話でもありません。佐藤さんのこれまでの半生と、ウィー東城店での日々を描いています。お客様からの「これが欲しい」「あれをして欲しい」というご要望に応えていくうち、なんでも屋のようになり、美容院やコインランドリー、パン屋まで併設された書店になった物語は、地域密着型書店の理想形を見ているようです。
学校に行けなかった経験を持ち、一度は社会から外れた若者をスタッフとして雇い、正社員にし、ついには新店長になったスタッフの話などは、書店運営は結局「人」であり、「地域」なのだ、ということを示しているようです。

佐藤さんは最近も、岡山のナショナルチェーンに長年勤めていた女性をウィー東城店にスカウトし、その女性は現在、主力スタッフとなって働いています。彼女とは私も親しくさせていただいておりますが、ナショナルチェーン時代とは全く違った業務の数々に「今までやってきたことは何だったんだ!」と驚く日々を送っているそうです。ウィー東城店で働くことによって、新たな視野が広がるのかも知れません。

などなど書いてきましたが、最初にも書いたとおり、私はまだウィー東城店をこの目で見たことすらないのです。いつか機会を作って、この書店に行くのが夢です。今年中には行ってみたいですね。
っていうか、誰か私をウィー東城店まで連れて行ってくださいw

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