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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2023/03/12 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

鳥肌が

著者:穂村弘

出版社:PHP研究所

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鳥肌が

歌人でエッセイストである穂村弘の、第33回講談社エッセイ賞を受賞した作品です。

本当に、毎度毎度安心したりあきれたり。
よく、こんなかすかな段差に気づいて、立ち止まれたり引っかかったりしたものだ。
わたしの200倍すべての感覚がセンシティブで、きっとわたしの25倍生きるのが下手な人。
わたしの心の中の違和感を、10倍の音量の拡声器で世界に響かせてくれる人。

そんな穂村さんの、日常にある何の変哲もないものにほの見える『恐怖』をたくさん読むことができます。
いつも『ですよねー!』ってうなずきながら読むのですが、今回は、おねがい!おねがいだからやめてくれ!の連続でした。
あえて焦点を合わさず、考えないように、想像しないようにして生きている様々なシーンに、このエッセイは容赦なくピントを合わせ、拡大し、一時停止までする。

…おわかりいただけただろうか…。


わたしも、自宅のベランダがこわいし、演劇の舞台がこわいし、赤ちゃんをだっこするのがこわい。
自分の本質を信用していないことに気づいてしまうではないですか!!

このエッセイを読んで、なにこれ?ぜんぜんピンとこない…。と思った方。素晴らしく健やかな心をお持ちです。わたしもあなたを信頼し、きっと好きになります。

こわいのに…こわいのって面白いからついつい読んでしまいました。
この文庫のカバーもなんともいえない『しゃなぬめっ…!』という触り心地で、ぞわぞわしながらもつい撫でてしまいます。
ぜひ、お手に取って試してみてください。
なんか『そわしゅるっ…!』って感触がしますから。

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