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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2023/04/23 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

ミッキー7

著者:エドワード・アシュトン訳:大谷真弓

出版社:早川書房

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ミッキー7

例えば、わたしが何らかの移植手術をしたとして。
一部の臓器が自身由来のものでなかったとしても、それは私の一部として動き、わたしはわたしとして生き続けます。
新陳代謝が正常であれば、全身の細胞は約3か月でそっくり生まれ変わるって。
心臓も、骨も、内臓も全て。あ、脳細胞は記憶を持っているから生まれ変わることはないらしい。
じゃあわたしって脳?
わたしの全身クローンは、もちろんわたしではない。
でもそれに、わたしの脳をスキャンしてそっくりそのまま移し替えられたとしたら?
わたしの遺伝子、わたしの体、わたしの能力に、わたしの記憶。
それは…何?

人類が地球を捨て宇宙に散らばった遠い未来。
新しいコロニーを建設するミッションに参加するミッキー・バーンズの役割は『エクスペンダブル(使い捨て人間)』
人間にしかできない、危険な任務を担当し、死ぬたびに過去の記憶を受け継いで新しい自分に生まれ変わる。死ぬ直前の記憶を、あるいは死ぬ少し前に保存しておいた記憶を持って。
順調に進む計画。順調に任務をこなすエクスペンダブルのミッキー。
何度かの死を繰り返し『ミッキー7』(7番目の彼だ)がとあるミッションから命からがらに生還した時、彼は死んだと思われてすでに『ミッキー8』が現れていた…!!

同じ人間が二人存在している。
しかも相手は今の自分より前の記憶しかもっていない。(しばらくバックアップを取っていなかった)
負ったけが。交わした会話。食べたもの。なんだかどんどんかけ離れていくように見える『ミッキー7』と『ミッキー8』。
わたしだったらどうするだろう…。
ミッキーのやり方、考え方に驚いて、面白くて、このありえない状況の先が気になってどんどん読んでしまいます。

そして帯文にもびっくり。
ポン・ジュノ監督で映画化進行中だって!!
この緊迫感がどのように映像で加速されるのか。
たのたのたのしみ過ぎる…!!

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