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佐々木大佑 がおすすめする本です。


啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。

2023/05/18 更新

スタッフのおすすめ


岡山本店

佐々木大佑

がおすすめする本です。


コミック

スキップとローファー①~⑧

著者:高松美咲

出版社:講談社

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スキップとローファー①~⑧

最近アニメが始まった今作品。けれど今期のアニメは「推しの子」やら「鬼滅の刃」やら、ジャンプの人気作品なども目白押し。それらの話題を集めている作品の人気に気をとられ、実を言うと最初は完全にノーマークでした。しかし弟から脈絡なくラインで「面白いから見ろ」と一言。兄としても、おすすめされたものはどれだけ時間がかかっても絶対に見る性分。一話見て、ほうっ!となり、気付けば今見れる分のアニメを全部見終え、漫画の方もこの前の休日を使って一気に読んでしまいました…。今、とても満ち足りた気持ちです。ありがとうブラザー。

主人公の岩倉美津未は天然幸せインフルエンサー。元々は石川県のド田舎にいた彼女ですが、将来は官僚になるというデッカイ夢を叶えるべく、はるばる東京の進学校を受験、高校入学のタイミングで単身上京してきました。頭がよく、努力家な彼女。しかし、本人が自覚している以上に抜けてるところがある彼女の東京での生活は最初ハプニングの連続。入学初日も電車を間違え、困っているところを偶然通りかかった同じ学校に通う生徒の志摩聡介に助けられ一緒に学校にいくことになります。
天然で少し抜けているところがあるミツミですが彼女はとにかく一生懸命。持ち前の前向きさと、まっすぐな性格に周囲のクラスメートたちもだんだん感化されていきます。また、そんな彼女と対照的に描かれるのが入学式の日にミツミを助けた志摩聡介です。イケメンで、高身長。よく気が付く性格で女の子からもモテモテな志摩ですが、なにやら重ための過去があり、少し冷めたところがあるようで…?(つまり、ほら、あれ。女子が一番好きなタイプのイケメンですよ!)志摩をはじめとするクラスメートたちが、ミツミに感化されてどのように変化していくのか、そしてミツミの成長が描かれる青春コメディ。

物語の世界観としてはいたってシンプル。けれど、なんていうんでしょう、人間関係の解像度が高い。ああ、あるよねえという共感の嵐。人って分からないもので、最初は気が合わないなあと思ってた人と結局3年間一緒にいたり、そうかと思えば物凄く仲の良かった人と、もう数年は連絡取り合ってなかったりもする。どこでなにやってんでしょうね、まったく。出てくる登場人物たちを見て、こういう子おったなあ、と自分の学生時代のことを少し思い出してしまいました。多分僕が頑張らなかっただけで、ちゃんと話せばもっと仲良くなれた人も沢山いたんだろうなあなんて、タイプの違う周囲の色々な人たちを巻き込んで次第に輪を広げていくミツミを見ていると、そんな風なことも考えてしまいます。苦手だなと思っていた見るからにカーストとか気にする感じのあの子とか、陰で人を見下すような言動をとってたあの子も、本当は裏で努力してたり、人には見せない葛藤があったりしたんかなと思ったり。…いや、やっぱりそれはないかも。うん、考えすぎ。いかん、話が逸れました。

楽しかった。そう思えるような青春時代であるべきだし、あって欲しい。けれど、人間関係のもやもやも、思春期特有の悩みやジレンマも、それはそれとしてあるんです。けれど、そんな日常の中心にはミツミがいて、頑張って真っすぐに人と向き合っている彼女を見ていると元気を貰える。好きなアニメや漫画を見ながらこんなことを考えてしまう僕は、ひょっとするともう嫌な大人の仲間入りをしてしまったのかもしれないけれど、ミツミや志摩には、ゆっくり大人になって欲しい。そんなことを思いながら、今日も元気にいってきます!

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