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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2023/07/28 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

霜月記

著者:砂原浩太朗

出版社:講談社

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霜月記

もー!!
本当に、父と息子ってやっかいだ。

じいちゃんと孫なら、互いの気持ちを推し量って気遣い合えるのに。
これが父と息子となると途端に難しくなるのなぜ?ただ素直に向かい合えばいいだけだったのに。もどかしい…。

背中ばかり見せているうちに、あの時、息子はどんな顔をしていたのか、その目に何が浮かんでいたのか気付かない時間ばかりが積み重なってゆく。
親父の不器用さ、息子の頑なさの不器用でもだもだする関係は、江戸も令和の今も変わらない。
でもさあ…。
なんか…読んでいるうちに、草壁三世代の男たちを並べて、背中をバァン!と叩いてやりたいです。満寿さんに代わって!

いやまあ、三世代町奉行の大変さはわかりますよ(※いやたぶん全然わかってない…)
自分の裁きで誰かの命運が決まる。
この頃なんで打ち首なんてあるし、文字通りの命運です。重い…。
そりゃ、藤右衛門が病むのも、わからなくはないけどさー。でも!満寿に代わってお仕置きしたいです!背中をバァンって!

十八歳の総次郎の真っ直ぐなきらめき。
父、藤右衛門の苦悩。
そして祖父、左太夫の抱える心残り。
一歩一歩を踏みしめて生きる時代の、男の人生がこの三人の生き様で見えてきます。

総次郎と彼の親友の武四郎にはこのまますくすく育って欲しい。まぶしい!
今はあんなに軽やかな二人の心も、責任の重みで固く、意固地になっていくのだろうか…。
煎餅をぱりんぱりんやっている仲良しな二人がかわいいです。
総次郎まっすぐかわいい!
武四郎のほほんかわいい!

そして出てくるご飯のどれも美味しそうなこと!
今とくらべて、途方もなく物語の込められた『食べる』『暮らす』を堪能いたしました。

行きつけのお店を「賢木」と「壮」のどちらにしようかめちゃくちゃ迷っています…。
やはり飲むなら「壮」かしら…。



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