漆黒の表紙の真ん中に『虚無レシピ』の文字。
そして帯に載ったボサボサヘアー、メガネの虚ろな表情を浮かべた男性の写真‥。
まさに、虚無‥！！

料理研究家リュウジさん。
ハイボールを片手に、ほろ酔いご機嫌に料理を作る姿を初めて見たとき、びっくりするくらい心が軽くなったのを覚えています。
結婚して以来、家庭内の料理を担当しています。
朝・昼・晩。そして朝・昼・晩。そしてまた日が昇り‥朝・昼・晩‥！！毎日！何年も！そしてこれからも！！
いつの間にこんなに疲れがたまっていたのか。
調理中の美味しそうなにおいをアテにお酒を飲みながら、時に邪道に、分かりやすく簡単に、そしてなんとも楽しそうに料理を作るリュウジさんを見ていると、いろいろ自分が勝手に背負っていたものが消えていく。

料理は、義務ではなく、自分を楽しませるために、美味しいものを楽しむためにするものなんだ。
そういえば、わたし料理やお菓子を作ることをけっこう好きだったな。思い出した。

しかししかし！
やっぱり疲れはてて料理をするやる気が起きないことが、人生にはたびたびあります。
でも、そんなときにこそおいしいものを食べて元気を出したい。
料理研究家のリュウジさんにも、そんな時があるのです。
まず、この本『虚無レシピ』
作らずに読むだけでも元気出ます。
ちゃんとしたレシピ本を開いて、パックご飯にどーん！と冷やっこが乗っかった料理(？)の写真が載ってるなんて夢なんじゃないかしら…。夢ブック。映え？映えなの！？
ワクワクで胸が震えます。
そして作ってみた時の興奮たるや！
だって！
これは！
料理研究家が出したレシピ本に載っていた料理なんだもの！！
と。いう謎のお墨付きの元、後ろめたさを微塵も感じずにおいしいズボラ飯を楽しめます。
なんならレシピ2工程しか書かれていないページもあります。すごい。
でもそのシンプルな材料と工程を読めば、ちゃんとおいしい理由、理屈がある。でたらめのズボラなんかじゃあない。
もちろん、手間ひまかけておいしいごちそうをゆっくり作ってゆっくり食べるのも楽しい。そっちのリュウジさんも大好きです。
でも虚無レシピの虚無リュウジさんを見てると嬉しくて目頭が熱くなるほどです。

虚無レシピの中の『秒殺ハヤシライス』を晩ごはんに作ってみたのですが、早く出来すぎて子どもにびっくりされました。
ご飯早炊きより先に出来ちゃう！
もちろん、おいしかった！！
時間が出来たのでまたちょっと本が読めるぜ！！