１９５９年２月。当時のソ連、ウラル山脈をトレッキングしていた９人の男女が遭難、やがて不可解な死体となって発見された。衣服は脱がされ、身体からは放射能が検出され、１人は舌を抜かれていた。
自然災害説から火球説、武力衝突説、ソ連の機密事項を知ったために消された説、果てはエイリアンに遭遇して殺された説まで、様々な説が上がるものの、どれも決め手に欠け、真相は不明のままだ……

世界的未解決事件として知られる、謎に満ちた「ディアドロフ峠事件」を解明すべく、当時の資料を当たり、関係者への取材など徹底的に調査した著者。そこで出た結論とは？

有名な都市伝説を、現代科学の視点で解剖した、読み応えあるノンフィクションです。
真相は、ここではもちろん言いませんが、非常に合理的で、納得できると思います。

旧ソ連という国が醸し出す神秘性もあり、当時なら「分からない」ままだったし、そのままで別によかったことでも、きちんと調査して謎を解くことで、事件の性質も全く変わってくることにも気づかせてくれます。
翻訳刊行当時（２０１８年）も大変な話題になりましたが、このたび読みやすく安価な文庫版が出たので、今回ここで紹介してみました。