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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2023/11/05 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

おばちゃんたちのいるところ

著者:松田青子

出版社:中央公論新社

ショッピングサイト
おばちゃんたちのいるところ

ご存じですか?いま読まれているこの「おすすめの本」に検索機能がつきました。
最初のおすすめ本一覧のページに戻って頂くと、「おすすめした人で選ぶ」の下に「書名/作者名で選ぶ」とありますよね。試しに四角の中に打ち込んでみてください。さて何がいいでしょうか…そうですね、『鳥肌が』と入れてみましょう。

「いつか読書をする人へ」と「本さえあれば、日日平安」2件の『鳥肌が』(穂村弘/PHP研究所)が表示されますよね。
実は、いつかさんのコラムを読み「なに、なに、なに、面白そう!」と興味を持ち通勤電車内で読んだところ、これは是非あのことを書かねば!と思った次第です。まあ、いつかさんのコラムに便乗した、真似した、パクった(言い方・・・)という感じです。

でもとにかく、「おすすめの本」にて弊社スタッフがご紹介した本が、皆様の読書のきっかけになれば幸いです。

検索していたら面白くなり、著者名を次々と入れてみました。村上春樹、東野圭吾、湊かなえ、重松清、益田ミリ、ヨシタケシンスケ・・・お気に入りの作家、好きなジャンルなど、おすすめ本を紹介している各スタッフ、それぞれの嗜好が垣間見えます。

ちなみに『鳥肌が』の作者、穂村弘さんの名前を打ち込んでみます。現在「おすすめの本」に掲載されているのは全部で6冊。「本さえあれば、日日平安」が1冊、残りの5冊はすべて「いつか読書をする人へ」でした。
いつかさんは「ほむほむ」推しだったのか…

対抗したいわけではありませんが、自宅の本棚で穂村弘さんの名前がクレジットされている作品を探してみると、『もしもし、運命の人ですか。』(MF文庫・現在は角川文庫)と『短歌があるじゃないか。一億人の短歌入門』(穂村弘・東直子・沢田康彦/角川ソフィア文庫)の2冊がありました。
なにげに『もしもし、運命の人ですか。』のページをめくっていると「姉マニア」に目がとまりました。

~ ある日、過去のガールフレンドたちを思い出してみると、ほぼ全員が「姉」だったことに気がついたのだ。「妹」とつきあった記憶はほとんどない。比喩ではなく、現実の兄弟姉妹関係の話だ。~ 本文より

穂村さんが過去につきあった女性は、ほとんどが妹や弟のいる姉だった、ということです。もちろんつきあう前に「姉」ですか?と訊いたわけではなく、親しくなってから兄弟姉妹関係を尋ねると判を押したように「姉」だったということです。
「~イニシアチヴやホスピタリティの感覚を身につけている女性と相性がいい ~ 私は姉タイプの女性に甘えるのは得意…」(本文より)と穂村さんご自身で分析されています。

読みながら思い浮かべたのは、文字通り姉さん女房であるわが妻のことでした。考えれば自分も穂村さんと同じ「姉マニア」なんだよな~彼女と結婚する前につきあっていた女性も年上だったし・・・
でも最初は甘えさせてくれた妻も、もちろん今はそんなことはありません。仏の顔も三度まで、妻が優しいのも3年、いや3か月ぐらいだったかも。

『おばちゃんたちのいるところ』 松田青子 中公文庫

追いつめられた現代人のもとへ、おばちゃん(幽霊)たちが一肌脱ぎにやってくる。失業中の男に牡丹灯籠を売りつけるセールスレディ、シングルマザーを助ける子育て幽霊、のどかに暮らす八百屋お七や皿屋敷のお菊・・・そして、彼女たちをヘッドハントする謎の会社員・汀(てい)。嫉妬や怨念こそが、あなたを救う⁉ 胸の中のもやもやが成仏する愉快な怪談集。

病気でふせっている時に看病してくれたのも、くじけそうになった時に叱咤激励してくれたのも妻です。ひとりで治ったつもりになったり、ひとりで立ち直ったつもりになってはいけないのです。

例えば、自身の能力を自慢する孫悟空に、ならば私の手のひらから飛び出てみなさい、とお釈迦様。筋斗雲で飛び続ける孫悟空。流石にもう世界の行き止まりだろうと思われるところにあった柱に印をつけるが、それはお釈迦様の指で、結局はまだ手のひらの中だった、という『西遊記』の中のお話があります。妻に対し、まさにその“手のひらの中”感を味わうのが夫の日常というものなのです。

次にどの本を紹介しようか?と本棚を探して見つけたのが本書です。もしかして、まだ誰も・・・と思いながら松田青子さんの名前を「書名/作者名で選ぶ」に入れてみました。『女が死ぬ』(中央公論新社)、『スタッキング可能』(河出書房新社)の2件がヒットしました。どちらも「いつか読書をする人へ」でした。
やはり既に紹介されていました。松田青子さんの作品が面白いのは間違いなかったのだ、と確信しながらも、ここでもまた“手のひらの中”感を味わうのでした。

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