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三島政幸 がおすすめする本です。


啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。

2023/11/21 更新

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三島政幸

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フィクション

一億円の犬

著者:佐藤青南

出版社:実業之日本社

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一億円の犬

梨沙は保護犬を飼って六本木のタワマンに夫と暮らすセレブ女子だ。SNSに写真をアップしていたが、エッセイマンガ〈保護犬さくら、港区女子になる〉をSNSで発表したところ評判となり、ついに出版社の編集者から単行本化の話が持ちかけられた。大ヒットすれば百万部も夢ではない――が、これらの設定は全て嘘っぱちだった。梨沙は本当は埼玉県川越のアパートに住み、携帯ショップの派遣社員をやっている。独身で、さくらと呼んでいる犬も飼っていない。犬の写真は見知らぬ外国人のSNSから盗用しているだけだ。

しかし、もし本が出せるなら、そして百万部売れたなら、印税だけでも一億円が手に入り、この貧乏生活からも脱却できるのでは? 編集者も、家に訪問したい、犬に会いたいと言っている。どうすればいいのか……そうだ! あの写真にそっくりな犬を飼えばいい。梨沙は保護犬の里親仲介サイトから、文字通りさくらに瓜二つのコロンを発見。早速交渉する。が、「飼育に適した環境かどうか、家庭訪問したい」と言われて青ざめる。まさか川越の古いアパートに住んでいるとは言えない……そうだ! 携帯ショップに時々来る迷惑常連客で一人暮らしの老人、中岡さんが今入院しているらしい。しかも家の鍵の隠し場所まで知っている。あの大きな家に住んでいることにすれば乗り切れるではないか。人生大逆転に向けて、梨沙の夢は膨らむ。
だが、この家には、さらなる事件が待ち受けているのだった……。

この一見トンデモ女子の梨沙がどんどん事件に巻き込まれていくのが、佐藤青南さんの『一億円の犬』(実業之日本社)です。
ここまでのあらすじでお気付きでしょうが、はっきり言って梨沙は「ザ・自業自得」な女性です。自分の欲望のために暴走し、その暴走がさらにとんでもない展開を生んでいきます。「ドツボ系サスペンス」と呼びたい作品です。
自業自得だけど、彼女の行く末が気になって読む手が止まらない、そんな超エンタメ作品です。
佐藤青南さんは自他ともに認める超愛犬家。もちろん、犬には危害が加えられることはありません。むしろ、ますます犬のことが好きになるはずです。

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