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あなたも3分でミステリ通になれる(仮)

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政宗九がおすすめする本です。


某店店長でもあり、ミステリマニアとしても知られる「政宗九」によるミステリコラム。
これを読めば、あなたもミステリ通です。

2023/12/28 更新

あなたも3分でミステリ通になれる(仮)


政宗九がおすすめする本です。


フィクション

地雷グリコ

著者:青崎有吾

出版社:KADOKAWA

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地雷グリコ

2023年のはじめ、このコラムで小西マサテルさん『名探偵のままでいて』(宝島社)を紹介しましたが、その際「2023年はたくさん紹介したい」と書きました。
が、実際にこのコラムで紹介したのは8作品でした。
しかし、これだけは紹介しなければ、という作品が11月末に出ました。
2023年の締めくくりとして相応しいと思うので、ぜひ紹介させてください。
青崎有吾さん『地雷グリコ』(KADOKAWA)です!!
こ、これはすごい! すごすぎる作品ですよ!

青崎さんは『体育館の殺人』で鮎川哲也賞を受賞してデビュー。その後、同シリーズに『水族館の殺人』『図書館の殺人』もあり、綾辻行人さんの「館シリーズ」のパロディタイトルでありながら、こちらもしっかりした本格ロジックでマニアを唸らせてきました。
その一方、『アンデッドガール・マーダーファルス』という、「生首少女」が探偵役になる特殊設定のミステリシリーズもあり、こちらも本格度の高さと独特なキャラクター造形で話題に。アニメ化もされた話題作です。
また、『早朝始発の殺風景』『ロッキンオン・ノックドドア』はドラマ化もされるなど、話題作を続けて発表されています。

そんな青崎有吾さんの本領発揮と言えるのが2022年暮れに文庫オリジナルで出た短篇集『11文字の檻』(創元推理文庫)。尼崎で起きた列車脱線事故をモチーフにした作品、百合格闘小説など、バラエティに富んだ作品が収められていましたが、中でも白眉は表題作の「11文字の檻」。世の中にある全ての言葉の中から、指定された11文字の言葉を見つけ出さなければならない。どう考えても不可能に見える命題に挑み、成功した傑作です。

この「11文字の檻」のような作風が行き着いた先に到達したのが、『地雷グリコ』です。
「グリコ」とは? あれですよ、子供の時に階段を上がるのに、友達とじゃんけんして、グーで勝ったら「グー、リー、コ」と言いながら階段を上がる。先に最後まで上がった方が勝ち。
誰もが知るこの遊びに、「階段に3か所ずつ『地雷』を埋め込み、その段で止まったら10段降りる」という特殊ルールが加わっている。お互い、どこに地雷を埋めるか……。という面白味。しかも闘うのが高校生なので、青春ギャンブル小説風に展開するのです。
こんなん、面白くないわけがないでしょう。

「地雷グリコ」の他には、
「坊主めくり」の要領で行う神経衰弱の「坊主衰弱」
普通のじゃんけんに新たな手を一手ずつ加える「自由律じゃんけん」
「だるまさんがころんだ」の掛け声の「文字数」の駆け引き「だるまさんがかぞえた」
4つの部屋に置かれたトランプを使った「フォールーム・ポーカー」
の5作品。どれもすごいのですが、個人的には複雑かつ勝負し甲斐のあるルールと、そのルールの網目をかいくぐる作戦が冴えわたる「フォールーム・ポーカー」が最高です。
天才勝負師女子高生、射守矢真兎(いもりや・まと)のキャラクターも素晴らしい。
もうとにかく最高。これを読んで年末年始を楽しんでください!

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