「ワぁ（私は）、ゴッホになるッ！」
ゴッホに憧れて上京した津軽の貧乏青年が、いかにして世界のムナカタとなったのか？
その秘密は妻チヤの存在なくしては語れません。

二人をはげまし導いたゴッホの『ひまわり』。
そして戦火に消えたもう一枚の『ひまわり』。

芦屋にあったその絵の犠牲でそれまでチヤの献身に頼っていた棟方の、家族にみせた情愛。

なぜ画家でなく版画家をめざしたのか。版画に必要な墨をひたすら磨るチヤ。
帝展準備会場での「白樺」主催者・柳宗悦（やなぎ・むねよし）との出会いー
これらのドラマチックな展開にページをめくる手が止まりません。

芸術家の伝記としてだけでなく一組の男女がいかに苦難を乗り越えたかという、熱い夫婦愛の物語でした。