素敵な、一面に赤い花のような鮮やかな表紙。
かわいい…と言いかけて手が止まる。うわ！
お花だと思ったのは一面にびっしりと描かれた蛸。
ひえっ、と思ったけどそのまま買いました。

ほむほむの、エッセイもいつもそうです。
かわいい、ほほえましい…と思ったとたんに、ぐにゃり、と物語がゆがむ。近づいてしまってうわ！なんかこわ！思ってたのと違う触感に背筋がぞわぞわっとします。

でも毎回読んでしまうのは、そんな不思議の国のほむほむに、強烈な共感を抱いてしまうことがあるからです。
え？こんななんともいえないすれ違い、気まずさ、思い出。わたし以外にもいるんだ。ていうか、みんな本当はこんなのなのかも。

勝手にお花の絵の表紙だと思い込んだくせに、この本を手に取るたびに、描かれた蛸たちのぎょろ目にびっくりしています。
蛸なのね…やっぱり、お花じゃないのね…。