手にしたきっかけは音楽ユニット・YOASOBIの「ミスター」です。
「夜に駆ける」ぐらいしか知らなかった当時、アルバムの全曲トレーラーを聞いた際に深く印象に残ったのがこの曲でした。

直木賞作家の作品をYOASOBIが楽曲化するコラボプロジェクトから生まれた本書所収の島本理生「僕の所有者」が「ミスター」の原作にあたります。

アンドロイドの「僕」が所有者のMr.ナルセと過ごした日々を、「先生」と呼ばれる人に手紙に認める形で物語は描かれます。
冒頭、Mr.ナルセは「僕」に対して厳しい言葉で叱ってしまい、「僕」もそれに戸惑い、二人に心の距離が生じます。
周囲の人物との会話をきっかけに二人は徐々に打ち解けますが、彼らに事件が―

　Mr.ナルセの「知ることは、よけいな感情を負うこと」という一言。
この感情が何を示すのか、是非読後に考えていただきたいです。
本書共通のモチーフは「はじめて〇〇したときに読む物語」。

あなたのお気に入りの「はじめて」を見つけてみてください。