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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2024/05/29 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

没落令嬢のためのレディ入門

著者:ソフィー・アーウィン 兒嶋みなこ:訳

出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン

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没落令嬢のためのレディ入門

借金返済のための婚約を破棄されたキティ。
両親をすでに亡くし、4人の妹達を抱え、借金の返済期限が迫っている…。けれどキティは失意のどん底に、沈みなどしなかった!
もっとお金持ちの男性を射止めて、我が家と妹達の生活を守るのだ。母の旧友を頼りに彼女はロンドンの社交界へ乗り込んでいく!!

21世紀にオースティンの新作を読めたような気分!
『傲慢と偏見』や『エマ』のような?いえいえ、さらにパワーアップした21世紀の意思の強いヒロイン、キティ・タルボット嬢。彼女の策略と度胸に圧されてゆくロンドンの紳士達。本当に必要なのはもちろんお金!!いえ、それとも愛??
すきーーーーっ!こういうの!!
とっぷりと物語に浸かってきらめきとときめきで癒されます。
でも、ただの夢や逃避ではなくて、1818年のイングランドを舞台に、今よりずっと選択肢のない不自由な女性が、機知と度胸とずる賢さで這い上がろうとするガッツや、人生で一番大切なものは何なのか、という今も人が悩み続けるテーマが描かれています。夢に浸かっていたのに、現実へ立ち向かうパワーまでチャージされる!素晴らしい☆
キティの欠点さえも魅力に見えてくるような描かれ方が好きです。
この物語に出てくる登場人物はみんなどれもチャーミングな欠点を持っていて、いやなやつ、鼻持ちならないやつ、狭量なやつ、世間知らずなやつ、想像力の足りないやつ、誰も彼も、最悪のなかにちょっといい一面を持っている。ちょっと周りを見渡したら現代の今すぐ近くにもいそうな人たち。
そしてなんといっても好きなのは、恋の進み方です!
眼差しやほのめかされる会話。見つめ合い交わされる微笑み。
え!そんなんで恋が進展するの!?もどかしい!!でも楽しい!
なんか恋の話も素敵なんですが、みんないじらしい、人間かわいい!な気持ちになれる物語です。


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