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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2024/06/25 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


ノンフィクション

いい人すぎるよ図鑑

著者:明円卓/佐々木日菜/真子千絵美

出版社:PHP研究所

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いい人すぎるよ図鑑

いつもの通勤電車内での話。最近、私の隣の席に座るとき、必ず「失礼します」と一礼される男性がいる。白髪交じりで50歳代の後半ではなかろうか。落ち着いていて会社では管理職という感じだ。
どんな相手に対しても態度を変えず、敬意のある振る舞いが自然に出来る人なのだろう。誠実で部下からの信頼も厚く、きっと仕事もデキる人であろうことが想像に難くない。

本音を言えば、電車では隣に誰も座って欲しくない。その方が気も遣わず楽だ。でも、その男性だけは特別だ。「失礼します」が聞けると嬉しいというか、何だか良い一日になりそうな気がするのである。

噂の?その男性が乗って来た。「あっ!こっちこっち、となり空いていますよ~」と、もちろん声には出さずに心の中だけでつぶやいた。いつものように「失礼します」と一礼して腰かけた。でもそれは私の隣ではなく、ひとつ前の席だった。なんだかフラれた気分…

『いい人すぎるよ図鑑』 明円 卓/佐々木 日菜/真子 千絵美  PHP研究所

いい人に出会ったからいい日になるのではない。自分自身が、そうなればいいのだ。自分の中の「いい人」を発動すれば、毎日がきっといい日になるはずだ。

本書は日常生活にひそむ「いい人」を100人収集した一冊。人の振り見て我が振り直せ。とても勉強になる。
例えば本書の表紙をご覧頂きたい。「30分待ちらしいです」と教えてくれる最後尾の人、が描かれている。相手のことを考え、自分から積極的に発信しているのである。
本書から他にもいくつかご紹介。

話に途中から入って来た人に、簡潔に流れを教えてくれる人
自己紹介で「あ!じゃあ私から!」って始めてくれる人
忙しい時でも、話しかけたら一旦PC(パソコン)を打つ手を止めてくれる先輩
「コンビニ寄ってから行くけど、何か買ってく?」の人
サークル合宿の朝目覚めたら片づけをしている人

優しくて、気が利いて、能動的な人である。自分から率先して動く、言葉を惜しまない。私が苦手としていることである。そう、だから妻から叱られるのだ。「優しそうに見えて、あなたのは本当の優しさじゃない」と。
そして中森明菜さんはこう歌われている。「優しさは軟弱(きよわ)さの言い訳なのよ」(十戒/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義/1984年)と・・・

でも本書の「いい人」の中に私が居ないわけでもない。例えば。

映画のエンドロールまで観ている人
配っているティッシュやチラシを毎回もらう人
足を踏まれた側なのになぜか自分が「すみません!」と謝っちゃう人
「席倒してもいいですか?」ってきけない人

何だか消極的ではあるが、私もいい人に違いない…と思いたい。
本書からはヒントを頂いた。「やだな~」の数だけ「いい人」が生まれる、ということである。

例えば「オンラインミーティングで1人でも画面をONにする」という「いい人」は、「1人だけリモート参加の打ち合わせで、顔がデカく表示される」という「やだな~」を感じながらも画面をONにしているのかも知れない。
また、その「やだな~」に気付いた別の「いい人」が、「1人だけ画面ONの人がいたら、自分も顔を出す」という「いい人」になっていく。
「いい人」の連鎖である。「いい人」の周りには、「いい人」が集まるのである。「いい人」の友だちは皆「いい人」だ。世界に広げよう「いい人」の輪っ!

啓文社では「いい書店員」の輪っ!を全スタッフに広めています。お探しの本がある場合は、作業中でもご遠慮なくお声かけ下さい。一緒にお探しします!

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