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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2024/06/26 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

赤と青のガウン

著者:彬子女王

出版社:PHP研究所

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赤と青のガウン

この本は2004年から5年間、英国のオックスフォード大学に留学し、女性皇族として初めて海外で博士号を取得して帰国された彬子女王殿下の留学記です。

女性皇族による英国留学記
女性皇族として初の博士号取得
瑞々しい筆致で綴られた留学の日々

帯や本誌に書かれた文章です。
そうなんです…そうなんだけどさ…なんか、ぜんぜん違うんです!!
落ち着いたジャケや紹介文に騙されずにちょっとこれ、読んでみて!
想像の25倍面白いから!!!

側衛(そくえい)も付けず、送迎もなく、生まれて初めて一人で街を歩いたのはオックスフォードだったという彬子女王殿下。ウインドーショッピングも、ふらりと思い立って観る映画も、常に一人ではない日々を送られてきたお方です。そんなお方がイギリスでの生活のエッセイを?
なんかちょっとローマの休日っぽくてわくわくする…☆
なんて思っていたら!!

苦難!試練!せまりくるトラブル!それにたった一人で立ち向かう彬子様!
なんか思ってたのとだいぶ違う、かなりドタバタてんやわんやの留学の日々。
うっすら洗剤が浮いた紅茶を、涙をのんで笑顔で頂く彬子様。
バスが止まってしまい、残りの路を雨の振る中震えながら歩いて向かう彬子様。
シンプルに自転車を盗まれる彬子様。
それらのトラブルをガッツと笑顔で乗り越える彬子様はまさにプリンセス。物語のプリンセスのように朗らかで勇敢で優しくて読んでいてわくわくしてきます。どんどん主人公を好きになっていく。

でも。
彬子様は物語のプリンセスではない。
皇族の方のたおやかな微笑みの裏の、彼女の苦しみや悲しみ、悩むお姿や、強い憤りを感じられる場面に胸が熱く…もう泣いてしまう…あ、彬子様~っ!!

そして感動するばかりではなく、めっちゃ笑えるのもすごいです。
何かやらかしてしまいそうな、大ピンチにたびたび見舞われる彬子様。そのたびに彼女の脳裏に浮かぶ『彬子女王殿下、○○○○される!』などの新聞の見出し。
どうしようどうしよう!新聞に載っちゃう!
そんなこと我々は考えたこともないです 笑

本当に、続編出ないかしら。
お忙しいでしょうが、彬子様の作家としてのご活躍も期待しています。






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