火村英生と有栖川有栖コンビの人気ミステリ国名シリーズ、30周年の今年、ついに日本を題材とした最新作登場です。

ノベルス版と豪華な愛蔵版の同時発売という、ファンにはたまらない選択肢です。
一本の扇しか持たない記憶喪失の青年が舞鶴の浜辺で保護されたのが事件の始まり。
数年前に失踪した青年は記憶の戻らぬまま京都の実家に帰ります。

家族の喜びも束の間、発生する密室殺人、そして何かを隠している一族の謎。
事件と同時に再び姿を消した青年が犯人なのか？
高名な日本画家の家族の確執や秘密、不自然に埋められた池の謎と扇の誕生の逸話…。次々と謎が明かされていくのに、なぜか真相に近づけない。

最後に探偵が暴く事件の真相・結末の余韻が沁みます。
再読すると全てが違う側面を持つ、不思議な小説です。