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あなたも3分でミステリ通になれる(仮)

あなたも3分でミステリ通になれる(仮)

政宗九がおすすめする本です。


某店店長でもあり、ミステリマニアとしても知られる「政宗九」によるミステリコラム。
これを読めば、あなたもミステリ通です。

2024/10/23 更新

あなたも3分でミステリ通になれる(仮)


政宗九がおすすめする本です。


ノンフィクション

ミステリーアイランド

著者:青戸しの 大矢博子 佳多山大地 千街晶之 政宗九 三宅香帆

出版社:講談社

ミステリーアイランド

昨年10月にこのコラムで紹介した『ミステリースクール』という本をおぼえていらっしゃるでしょうか。
MRC(メフィストリーダーズクラブ)のLINEアカウントで連載していた作品ガイドの集大成です。
今回の『ミステリーアイランド』は、このシリーズにあたる新作の書評集です。
実はMRCからの書評集はこれが3作目なんですね。
2作目にあたるのは『ミステリーツアー』。これは、青崎有吾さん、阿津川辰海さん、伊吹亜門さん、似鳥鶏さん、真下みことさんの5名のプロミステリ作家さんによる連載書評集でした。プロならではの観点と文章が楽しめます。

『ミステリーアイランド』は『ミステリースクール』と同じく、書評家・レビュアーによるレビュー集です。担当者は、
モデルでありながらライターとしても活動中の青戸しのさん
『クリスティを読む!』(傑作!)などで知られる大矢博子さん(我々的には、懐かしのミステリ系サイト「なまもの!」管理人)
『新本格ミステリを識るための100冊』などの佳多山大地さん
コロナ・パンデミック下で書かれたミステリを論じた『ミステリから見た「二○二○年」』(傑作!)などの千街晶之さん。未来屋書店のミステリーコーナーの推薦人としても知られています。(余談ですが、未来屋書店岡山店のミステリの部屋は一種独特な空間でお薦め。ここも千街さんプロデュースです)
そして、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で大ブレイクした、今をときめく三宅香帆さん

以上の5名、プラス、私、政宗九の6名なのです。
すごい人たちに一人だけ素人が混じっています。どうもすみません。

『ミステリーアイランド』は、古今東西のミステリの中から、特に「孤島」が舞台になったり登場したりするミステリに絞った書評集です。この切り口が面白いですね。
一人の担当は11作品で全66作品の「孤島ミステリ」が紹介されています。孤島のミステリって多いよね、ほら、『そして誰もいなくなった』や『十角館の殺人』や『パノラマ島奇譚』などなど……と挙げるとキリがないように見えますが、意外と探すのは大変でした。でも66作品もあるんですねえ。

実はこのレビューがスタートする前、6名が「採り上げたいミステリ」を出し合って、競合したらじゃんけんで奪い合う「ドラフト会議」なるものが行われたのですが、本書はその「ドラフト会議」も収録。自分で言うのもなんですが、面白いです。

もうひとつの読みどころ(?)は、挿画。漫画家であり、日本推理作家協会賞の選考委員も務められている喜国雅彦さんが担当されています。今いちばん分かりやすいのが、講談社文庫の綾辻行人さんの「館シリーズ」の表紙イラスト。あれも、喜国雅彦さんの作品です。
表紙の孤島のイラストも雰囲気が出ててすごいのですが、6名の書評家のシルエットイラストもめちゃくちゃ似てます。私もとっても似てるので、ぜひ見てみてください。
あ、孤島ミステリの紹介も楽しんでくださいね。

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