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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2024/11/13 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

虹いろ図書館 司書のぼくと運命の一年

著者:櫻井とりお

出版社:河出書房新社

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虹いろ図書館 司書のぼくと運命の一年

わたしの、図書館もごろんごろんと自動ドアが大きな音を立てて開いていた。ほかの扉より少しゆっくりと開く。
居場所があった、とは言えない子ども時代でした。
園長先生の机のとなり、もしくは絵本の部屋。
職員室の隣の保健室、もしくは二階の図書室。
教室を歩くのはとても怖くて、どこを踏んで歩いたらいいのかわからないくらいだった。
けれど、町の図書館はぜんぜん違った。わたしは水に放たれた魚のように本棚の間をすいすい歩ける。秩序が保たれていて、教室のように突然のでたらめなルール変更もない。どこに何があるのかわかって、安心する。理解できて、堂々と振る舞える。どこに立っても、座っていてもいい。約束はちゃんと覚えている。意味のあるきまりなら、わたしはちゃんと守れるとわかった。
ずーっとそうして本を読んでいたら、いつの間にか書店員になっていて毎日本屋にいるけれど、お休みの日には図書館につい行ってしまう。

虹いろ図書館シリーズの6冊目、ついに最終巻です。
とびはねるくらい嬉しいけれど、もう続きを知れないと思うとさみしくてたまりません。
正直、表紙の挿画のみんなの顔を順番に見ているだけで涙ぐんでいました。はやい…。
あの時も、この時も?イヌガミさんのつまらなそうな顔の裏に渦巻く気持ちに、熱い思いに、悩みや葛藤に、感動と涙とともに納得しました。
こんなにも強い気持ちだったから、子どもたちの心を守り、前に進む力をくれたんだ。
そして子どもの頃のわたしまで、ほのかちゃんたちと一緒に丸ごと前に進ませてくれます。
物語のここから先はもう想像するしかないけれど、わたしはそういうのけっこう得意なのでいつまでも考えてしまいます。しばらくは夫に話しかけられても生返事です。(息子の声はどんなに空想に耽っていてもすぐ聴こえるのはなんでだろう…不思議だ…)
最終巻の犬上さんは、もう、大声出して応援したい!できるなら直接背中を押してやりたいくらいです。
応援上映ならぬ、応援読書です。
いぬがみさーん!!!
ありがとう!!!
ありがとーーーっ!!!


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