おすすめの本RECOMMEND
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?
2024/12/08 更新
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
フィクション
ヤングタイマーズのお悩み相談室
著者:石川宏千花
出版社:くもん出版
ラジオ文学の名作がまた生まれましたよ!!
ラジオが大好きです。FM、AM、インターネットラジオなど、昔はリアタイで、今はradikoを駆使して様々な場所や時間のラジオを聴きまくっています。ラジオが出てくる物語も好きです。岩瀬成子さんの『もうちょっとだけ子どもでいよう』原田ひ香さんの『ラジオ・ガガガ』金子玲介さんの『死んだ山田と教室』のラジオも好き。村上春樹さんの『風の歌を聴け』もラジオ文学かな。古い映画ですが『めぐり逢えたら』も好きです。けっこうラジオが出てくるお話ってありますね。
毎週土曜日、午後五時からの五十四分間。中学生に向けたラジオ番組『放課後の放課後』。その中のコーナー『ヤングタイマーズのお悩み相談室』に送られるお悩みにまつわる物語です。
家族や友達の声では届かない、分厚い殻に覆われているものすごく繊細で頑ななあの頃。
遠い場所の、全然知らない人からの言葉が、なぜか心にまで届くことがあります。ラジオからの声が、インターネットの書き込みが、古い古い小説の一説が、わたしのためのメッセージとなってここまで届いた。そういったものに救われたことが何度もあります。
人生が始まったばかりの中学生たち。あまりの行く先の広さ果てしなさにどうしていいかわからなくなって立ちすくんでしまう。そんな時は『ヤングタイマーズのお悩み相談室』を聴くのが一番です。
劇的な解決法がなくったって、いい。
聞いてくれて、考えてくれる、自分の頭の中の堂々巡りから外へ出る。誰かとつながる。部屋の中にたったひとりでも誰かのおしゃべりに相づちが打てる。
パーソナリティーふたりのことが大好きになってしまいました。皆吉黛生の出演した映画やドラマを観てみたいし、八十色類のMVも観たい。読みながらふたりの声がばっちり聴こえました。うんうん、こんな感じでしゃべってる!こんな声、うんうん!
何気ない会話の中に、正反対の性格のふたりの仲の良さが垣間見えて楽しいです。
思わずラジコで『放課後の放課後』と番組名を検索したくなります。
わたしも聴きたいな~!
わたしがお悩みを送るとすると、きっとラジオネーム『かさぶた』さんみたいなのになっちゃいそうだな…。