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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2025/01/05 更新

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井上いつかがおすすめする本です。


文庫

忠臣蔵の姫 阿久利

著者:佐々木裕一

出版社:小学館

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忠臣蔵の姫 阿久利

昔、祖母が手を合わせながら忠臣蔵を観ていたのを思い出す。なんでも、ご先祖様?があの一群の中にいるそうな。祖母の母の実家がお武家様で…??とかなんとか。ほんとに??うそかな??今となってはもう聞けません。

と、いうわけで小さい頃から知ってはいた忠臣蔵。
祖母に付き合って時代劇のドラマはよく観ていました。
そして時代小説や歴史小説もいくつか読んだりもしています。
熱い、男たちの世界。憧れるけれど、中には入れない。
忠臣蔵なんて特にです。

と、思っていたのに!!!

まずタイトル。姫ですよ、姫!忠臣蔵なのに?家臣たちの仇討ちの話なのに?
とにかくお姫様が大好きなわたしは即買いしました。
そして始まる物語。浅見内匠頭の許嫁となった広島の三次藩のお姫様、阿久利が主人公。広島!?そうなの?そしてわずか三歳で縁談が決まり、翌年には江戸へ向かうのです。
もう、阿久利が…かわいい!!
素直で愛らしくて頑張りやさんで…とにかく応援したくなる。まるでアニメ世界名作劇場の主人公。もしくは朝ドラ。試練を乗り越えながら成長する彼女に、読者も物語の中の皆も惹き付けられていきます。そうでしょう、そうでしょう!
そして出会う浅野長矩、内匠頭様!!
いやー、忠臣蔵、思いますよね…浅野内匠頭、なんで我慢できんかったん??家臣たちにあんな悲しい思いさせてさーって。なんか怒りっぽい人なの?とか。
なのになのに!浅野内匠頭!殿がなんてさわやかでかっこいいのか!家臣に慕われ、阿久利と少しずつ絆を深め、素敵な物語に胸をときめかせながら、あの日が来るな、と願わずにはいられませんでした。

かわいらしい、たおやかな姫。
武士の妻という存在。
江戸時代の、奥方というものは文字通り『奥』にいるものなんでしょう?などと思っていたわたしはひどい勘違いをしていました。
武器を持ち、仇討ちの列に続く。
それとは全く違う、夫の想いを継ぐ戦いがある。
静かに控えたまま、阿久利の戦いが始まります。
その強さに、展開に、目が離せなくてあっという間に読み終えてしまいました。

読み終えた時には泣いてました。
阿久利…!!
姫の戦い、かっこいいです!!



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