棚の片隅でコツコツ売れている文庫がある。購入された方々の目利きに感心するとともに、漠とした不安だったものがくっきりと身近に迫ってくる。
そう、これは終活指南の本だ。

　毎日死に関するニュースを見聞きして、身近なのにどこか他人事だった。
将来のことは予測できないからこそ、不安が膨らむ。推理小説なんて誰かが死ななきゃ話が始まらんが、諸々の死後の手続きなんてしてない。
虚構の小説の中に現実逃避してしまいたい気持ち。

しかし人見知りでビビりの著者が立ち上がってくれた。
わからないことを丁寧に調査し、章ごとに大事なポイントが簡潔明瞭にまとめてある。
しかも実体験を明るくユーモア溢れる文章で。光明が差してきた。ハレルヤ。

著者も団塊Jr.世代。半世紀も生きればポンコツ化する摂理。
迷惑や負担はどうやってもかけてしまう。
いつか訪れるその日、安心して旅立つためにも、時代や境遇の変化もあろうが折に触れて読み返し前向きに生きたい。