あつい。この夏の気温もだが、この人のソウルはもっとアツイ。
その名はやなせたかし。
目下NHKの朝ドラでも話題、言わずと知れた国民的ヒーロー、アンパンマンの生みの親。　しかしアンパンマンがテレビアニメでブレイクしたのは、やなせ先生が実に69歳の時であった…。先生は決してあきらめなかったのだ。

　　その生涯を描いた本書の著者は、やなせ先生創刊の雑誌『詩とメルヘン』元編集者で、いまや評伝の名手となった梯久美子さん。
長年身近にいた第三者だからこそ書ける視点がある。数々のやなせ作品に流れるのは優しさや希望。
忘れがちな現代にこそ響く。
つらい時悲しい時、やなせ先生の言葉が教えてくれる。
そのなかのひとつ、「なんのために生まれてなにをして生きるのか。」―すぐに答えは出ない。
けれど人それぞれが何をして生きるのか、それを問い続けることが大切で、それこそが生きる意味なのだ。哲学的。

答えを探す読者へのやなせ先生からの挑戦状だ。