おすすめの本RECOMMEND

スタッフのおすすめ
大原奈緒 がおすすめする本です。
啓文社全店のスタッフが不定期に更新する「スタッフおすすめ」コーナー。 最新書き込みから順次表示しています。
2025/09/09 更新
スタッフのおすすめ
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大原奈緒がおすすめする本です。
フィクション
ババヤガの夜
著者:王谷晶
出版社:河出書房新社

なんでもどえらい賞を受賞したと聞き、ミーハー心で手に取った同作。
英国推理作家協会主催のダガー賞翻訳部門受賞作は、まるごと一冊ぶっとび本だった。
個性しかない登場人物のひとり新道依子は暴力が趣味の22歳。ただの脳味噌筋肉かと思いきや客観的かつ冷静に状況判断でき本質を見抜く。
血塗れ激痛バイオレンス描写多数だが依子についていけば地獄絵図でもサバイブできそう。
その腕を買われ暴力団会長の愛娘、内樹尚子の用心棒をすることに。
そもそも気になるのはババヤガとは何だ?
作中で説明は一切ないがスラヴ民話に登場する魔女、日本でいう鬼婆らしい。
依子と尚子は境遇も性格も正反対だが“お姫様より鬼婆になりたい”という点で重なり合う。
ただの奇抜な話でなく痛みや孤独を抱えながら、生き抜こうという魂の叫びが聞こえてくる。
現在と未来が過去と交錯したとき話は急展開。鬼婆は自らの中に眠る生命力の象徴なのだ。夜明けは近い。