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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2025/09/10 更新

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井上いつかがおすすめする本です。


文庫

そのネイルは内緒のときめき

著者:神戸遥真

出版社:マイクロマガジン社

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そのネイルは内緒のときめき

うちはネイルサロンが併設された本屋です。
カフェバー《ランハチ》みたい…!!

久々にまた、爪塗ってもらいたいな。
夏休み、子どもに急に言われた言葉。
この小説を買ったばかりだったのですごく驚いてしまいました。シンクロニシティ…???

子どもが、一番側にいるわたしの持ち物や好きなものに影響を受けるのは当たり前だと思っていた。
ネイルやアクセサリーやぬいぐるみやシルバニア。
幼稚園に行くようになると急に声をかけられるようになってびっくりした。
男の子なのに、って。
え?男の子がネイルってそんなに変なの?シルバニアって変わってるの??


恋愛も仕事も上手く行かず、苦しい日々を送っている仁美が出会ったのは、男性のネイリスト・怜亜。
男性であるだけで、いろいろ不利なことが多いであろうその仕事にプライドを持ち仕事に打ち込む姿、ネイリストとしてお客様に寄り添う姿勢が…かっこいい!
そして、仁美が居候しているカフェバー《ランハチ》のマスター直樹くん。優しい幼なじみのお兄さんの包容力が…たまらない!
でも何より主人公の仁美が好きです。頑張り屋だけどちょっとてきとーで、素直に人と関わっていく前向き(前のめり?)なところが応援したくなります。
もちろん!恋もね!!ああ、やきもきする~っ!

物語に出てくる人皆が、立場や、場所やなにもかも自由に、好きなところで輝いて欲しいです。
そんな希望を感じられる小説でした。

久しぶりにマニキュアを塗ってあげた子どもの手は、わたしよりずっと大きくなっていました。
深い青色の爪先にご満悦でした。
神戸遥真さんの小説に出てくる男の子たちのように、自分の好きなことを大事にして行けますように。


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