おすすめの本RECOMMEND

KEIBUNSHA

いつか読書をする人へ

いつか読書をする人へ

井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2025/10/20 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

三頭の蝶の道

著者:山田詠美

出版社:河出書房新社

ショッピングサイト
三頭の蝶の道

山田詠美さんの新刊です!

最高です!大好きです!ずっと好きでした!かっこいいいい!かっこよさと迂闊さの塩梅が大好物です!強気と弱気のアンバランスさも大好きです!エッセイも大好きです!
…なわたしが最新刊の紹介をします!!!

女学生のように潔癖で女王のように高慢。
女流作家の世界を堪能できました。
憧れたり反発したり共感したり忙しいこの気持ちを、あなたならわかって下さるとすり寄ってしまいそうになります。きっと様々な微笑みと共に突き放されてしまう。彼女たちは誰とも違うから。孤独に立っている。その冷たさに自身を凍りつかせながら、その激しさにその身を焼き付くしながら。

女流作家が切り開いてきた道の先にいる、山田詠美。
この本を読んで、ふと思いついてしまって怖くてたまらない。山田詠美がいなくなってしまったら、わたしはこの先どうやって歩いていったらいいの?山田詠美さんの文庫本は、山奥の田舎の片隅で、世界を、彼女の生き方を覗かせてくれる小さな小さな窓だった。あの窓がなければ、わたしは色々なものをのみ込んでここまできてしまったでしょう。彼女のお陰で、言葉を、時にはツバを、のみ込まず吐き出したり吐き捨てたりして、曲げず、楯突き、時には逃げて、真似しちゃいけないことも教わって、今のところわたし自身に納得できています。

大きな時代の幕が引かれる今、この小説は最高のクライマックスになるでしょう!!
あらためて、この小説の舞台になった『女流』の時代の小説も読み返してみたいです。


おすすめの本一覧へ