広島出身・在住作家の小説で、舞台が広島となりゃあ広島県民としては読まんわけにはいかんじゃろう。
第二話の婆さんのセリフ「ほんならそのままでええよ。はぁ気にせんでちょうだい。」の方言のニュアンスは広島県民には伝わるはず。

しかし警察を舞台にしたミステリー小説たぁ、仁科裕貴先生のお名前は存じていたものの、あの青春小説や、あやかし小説を書いていた先生と結びつかずびっくり！
そしてネタバレ無しの『あとがき』を読んで二度びっくり！かつて警察官じゃったとは。道理で見てきたように警察内部のことが描写されているわけじゃ。
自分も知らんうちに署内にいるような錯覚を起こしてしもうた。

物語は真面目を人間にしたような会計課事務員・音無遠子と刑事一課の顔面凶器捜査員・鳴上巡査部長の正反対すぎる二人のやりとりで進んでゆくんじゃ。
浅からず因縁のあった二人は徐々に距離を縮めて良いコンビに。
また応援したい作品が増えたのう。